変更届出や書換申請が必要になるケースとその手続 - 古物商
はじめに
古物商は、その営業内容を変更しようとするとき又は変更したときは、その旨を届け出なければなりません。
変更届は、事前と事後の届出に分かれており、それらを同時に届出することはできないため2回に分けて行うことになります。
また、その変更が古物商の許可証の記載事項である場合には、許可証の書換申請も必要です。
今回は、変更届出(事前・事後)や書換申請が必要になるケースとその届出期限や必要書類など手続の概要について行政書士が解説します。
目次
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事前の届出が必要なケース
(古物営業法(以下、「法」という。)第7条第1項)
古物商の「営業所」に関し、その名称又は所在地を変更する場合には、あらかじめ届出をする必要があります。
- 営業所の名称の変更
- 営業所の移転
- 営業所の新設
- 営業所の廃止
- その他の営業所を主たる営業所とする変更
- 複数の営業所がある場合において、主たる営業所を廃止し、別の営業所を主たる営業所とする変更
事前届出 - 届出期限
(古物営業法施行規則(以下、「規則」という。)第5条第3項)
営業所の名称又は所在地に関する変更は、事前届出とされており、変更予定日の3日前までに行わなければなりません。
なお、この場合における「3日前」とは、中3日をあけるという意味です。
3日前の日が閉庁日の場合
3日前の日が土日祝日等で閉庁日となっている場合は、その直前の開庁日が届出の期限となりますのでご注意ください。
例えば、30日が変更予定日だとしたら、届出は26日までに行わなければなりませんが、26日が警察署の閉庁日にあたる場合は、その直前の開庁日である25日が届出期限となります。
25日(金) | 26日(土) | 27日(日) | 28日(月) | 29日(火) | 30日(水) |
---|---|---|---|---|---|
直前の開庁日 | 閉庁日 | 閉庁日 | |||
届出期限 | (通常の届出期限) | 中3日 | 中3日 | 中3日 | 変更予定日 |
事前届出 - 必要書類
(規則第5条第2項)
事前届出は、別記様式第5号を提出して行います。
変更届出書のダウンロード(警視庁)
- 別記様式第5号
事前届出- 手数料と添付書類
事前届出においては、手数料及び添付書類は不要です。
なお、届出をする都道府県公安委員会によっては、その営業所の場所や使用権限の確認のため「土地・建物登記簿謄本の写し」「賃貸借契約書のコピー / 使用承諾書」「周辺図」「内部平面図」などの書類の提出を求められる場合があります。
事後の届出が必要なケース
(法第7条第2項)
古物商の営業所の名称又は所在地の変更以外の事項について変更があった場合は、その事後に届出が必要になります。
事後届出が必要になる変更は、具体的には、次の通りとなります。
- 古物商の氏名又は住所の変更*1
- 法人の名称又は所在地の変更*1・2
- 法人の代表者の交替*1・2
- 法人の代表者の氏名又は住所の変更*1・2
- 行商行為の有無(する・しない)の変更*1
- 管理者の選任・交替
- 管理者の氏名又は住所の変更
- 法人の役員の交替*2
- 法人の役員の氏名又は住所の変更*2
- 取り扱う古物の区分の変更
- ホームページ利用取引の変更(開設・閉鎖)
- URL等の変更
*1の変更を行う場合、原則、同時に許可証の書換申請(後述)を行うことになります
事後届出 - 届出期限
(規則第5条第6項)
事後届出における届出期限は、変更が生じた日から14日以内とされています。
「14日以内」とは、変更が生じた日の翌日から起算して14日目にあたる日(14日目を含む)までのことをいいます。
なお、届出書に登記事項証明書を添付すべき場合(上記一覧「*2」)にあっては、変更登記や証明書を請求する期間を考慮し、変更が生じた日から20日以内とされています。
14日目(20日目)にあたる日が閉庁日(土日祝日)である場合、事前届出とは異なり、その直後の開庁日が届出期限となります
事後届出 - 必要書類
(規則第5条第5項)
事後届出は、別記様式第6号その1(ア)を用いて行います。
なお、「管理者に関する変更」又は「取り扱う古物の区分の変更」がある場合は、その2への記載も必要になります。
書換申請・変更届出書のダウンロード(警視庁)
- 別記様式第6号その1(ア)、その2
「法人の代表者の交替」がある場合は、別記様式第6号その1(ア)に加え、別記様式第6号その1(イ)も提出しなければなりません。
- 別記様式第6号その1(イ)
「ホームページ利用取引の変更」又は「URL等の変更」の場合は、別記様式第6号その1(ア)の加え、別記様式第6号その3に、そのURLを記載し提出する必要があります。
- 別記様式第6号その3
「その1(ア)」は必ず作成し、変更の内容によって「その1(イ)」「その2」「その3」が必要になります
事後届出 - 手数料と添付書類
(法第7条第4項及び規則第5条第7項)
事後届出においては、事前届出と同様、手数料はかかりません。
ただし、添付書類については「行商の有無の変更」「取り扱う古物の区分の変更」の場合を除き、変更届出書に加え、次の書類を添付する必要があります。
変更内容 | 個人許可 | 法人許可 |
---|---|---|
古物商の氏名又は住所の変更 | 住民票 | - |
法人の名称又は所在地の変更 | - | 登記事項証明書 |
法人の代表者の交替 | - | 住民票 身分証明書 登記事項証明書 略歴書 誓約書 |
法人の代表者の氏名又は住所の変更 | - | 住民票 登記事項証明書※1 |
行商行為の有無(する・しない)の変更 | - | - |
管理者の選任・交替※2 | 住民票 身分証明書 略歴書 誓約書 | 住民票 身分証明書 略歴書 誓約書 |
管理者の氏名又は住所の変更 | 住民票 | 住民票 |
法人の役員の交替 | - | 住民票 身分証明書 登記事項証明書 略歴書 誓約書 |
法人の役員の氏名又は住所の変更 | - | 住民票 登記事項証明書 |
取り扱う古物の区分の変更 | - | - |
ホームページ利用取引の変更(開設・閉鎖) URL等の変更 | URLの使用権限を疎明する資料 | URLの使用権限を疎明する資料 |
※1 都道府県によって不要な場合があります【不要】警視庁、神奈川県警など 【必要】宮城県警、長野県警など
※2 既に他の営業所の管理者である者と交替又は新設する営業所において他の営業所の管理者である者を選任する場合は、添付書類は不要となります
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変更届出書(事前・事後)の提出先
(法第7条第1項~第3項)
変更届出書の提出先は、営業所が1つである場合は、その主たる営業所の所在地の管轄警察署に、2つ以上ある場合は、そのいずれかの所在地の管轄警察署に提出しても構いません。
他の都道府県に営業所を新設する場合
変更の届出は、その届出時おいて、未だ営業所として届け出ていない営業所の所在地の管轄警察署では受理できません。
したがって、初めて他の都道府県に営業所を新設・移転等させる場合は、既に届け出ている営業所の所在地の管轄警察署に届け出る必要があります。(営業所が2つ以上ある場合は、そのどちらかで構いません)
許可証の書換が必要になるケース
(法第7条第5項)
変更届出書において変更する内容が、古物商の許可証の記載事項である場合には、その許可証の書換を行う必要があります。
- 古物商の氏名又は住所の変更
- 法人の名称又は所在地の変更
- 法人の代表者の交替
- 法人の代表者の氏名又は住所の変更
- 行商行為の有無(する・しない)の変更
書換申請書と申請期限
(規則第5条第9項)
書換申請は、別記様式第6号その1(ア)を用いて行いますが、これは変更届出書を兼ねているため、例えば、古物商の住所を変更する場合、別記様式第6号その1(ア)を一通提出すれば、書換申請と変更届が同時に行うことができます。
そのため、書換申請の申請期限は、事後届出における期限と同様に、変更が生じた日から14日以内となっています。(登記事項証明書を添付すべき場合にあっては、変更が生じた日から20日以内)
変更届出と書換申請を同時に行う場合の提出先は、主たる営業所の所在地の管轄警察署に限ります(理由後述)
書換申請 - 手数料と添付書類
(地方公共団体の手数料の標準に関する政令-表28)
書換申請の手数料は「1,500円」となっています。
添付書類は不要ですが、書換を行ってもらうため「許可証」を提出する必要があります。
書換申請書の提出先
(規則第5条第9項)
書換申請書の提出先は、変更届出の場合とは異なり、主たる営業所の所在地の管轄警察署のみとなっています。
したがって、書換申請が必要になる変更について、その他の営業所の所在地の管轄警察署に変更届を提出した場合は、改めて、主たる営業所の所在地の管轄警察署に書換申請をしなければなりません。
書換申請が必要な場合、その原因となる変更届の提出先は、主たる営業所の所在地の管轄警察署とすれば、書換申請と同時に行うことができます
事例
事例1:営業所の新設
営業所を新設する場合は、新設をする日の3日前までに「別記様式第5号」にて新設の届出をし、さらに、新設の日から14日以内に「別記様式第6号その1(ア)」及び「その2」にて新設した営業所において取り扱う古物の区分と管理者の届出を行います。
事例2:法人の所在地と営業所の所在地の変更
法人の所在地と営業所の所在地を同時に変更する場合は、営業所の所在地を変更する日の3日目までに「別記様式第5号」にて事前の届出をし、法人の所在地を変更してから20日以内に「別記様式第6号その1(ア)」にて事後の届出を行います。
なお、法人の所在地の変更は、許可証の記載事項に係るので、同時に、書換申請も行うことになります。