古物商のホームページ利用取引とは?WHOIS情報の検索やその変更の方法

はじめに
「楽天市場で販売する場合も届出が必要?」
「WHOIS情報の変更の仕方がわからない」
古物商が、ホームページ等を利用して古物の取引を行う場合には、そのURLの届出と、添付書類として「URLの使用権限を疎明する資料」を提出しなければなりません。
今回は「URLの使用権限を疎明する資料」について、WHOISを用いる場合の情報検索や変更方法を中心に行政書士が解説します。
目次
URLの届出が必要になる場合
(古物営業法(以下、「法」という。)第1項第6号)
古物商が、古物の買取や売却を、ホームページ等を利用して、電子メールや電話等により相手方と対面せずに行おうとするときは、そのホームページのURLを届出なければなりません。
なお、古物商自身がホームページを開設する場合に限られず、amazonやヤフオク、楽天市場などにショップを出店して取引きを行う場合も届け出る必要があります。
URLの届出が必要になる3つのポイント
- ホームページ等を利用して
- 古物の売買の申し込みを受け
- 非対面により取引を行う
届出が不要な場合
したがって、ホームページは開設しているものの単なる会社のホームページなどで古物に関する記載がない場合、または、古物に関する記載はあるものの実際の売買は相手方と対面して行う場合は「ホームページ利用取引」にあたりません。
また、ヤフオクなどのオークションサイトに、ストア出店ではなく、1点ずつ出品する場合もURLの届出は必要ありません。
自身でインターネット・オークションサイトを開設する場合は「古物競りあっせん業者」に該当し、別途3号営業の届出が必要です(法第10条の2)
届出の方法
許可申請と同時に行う場合
(法第5条第1項第6号)
古物商許可申請と同時に行う場合は、「別記様式第1号その4」にホームページのURLを記載して、許可申請書(「別記様式第1号その1(ア)」「その2」)とともに提出します。(詳しくは、下記「古物商 - 許可申請書の書き方と注意点(記載例付)」をご覧ください)
提出先は、許可申請ですので、主たる営業所の所在地の所轄警察署です。
許可取得後に行う場合
(法第7条第2項及び第4項)
古物商の許可取得後に行う場合は、「別記様式第6号その3」にURLを記載して、「別記様式第6号その1(ア)」とともに変更届出として提出します。
提出先は、この場合「営業所等の名称又は所在地の変更」以外の変更になりますので、営業所が1つの場合はその所在地の所轄警察署、2つ以上ある場合はそのいずれかの所轄警察署に提出すればよいことになります。
申請書のダウンロード(警視庁)
- 書換申請・変更届出書 別記様式第6号その1(ア)、その2
- 書換申請・変更届出書 別記様式第6号その3
届出期限
(古物営業法施行規則第5条第6項)
古物商の許可取得後に、ホームページ利用取引を行おうとする場合は、そのホームページ等を開設してから14日以内に、営業所の所在地の管轄警察署に、URLを記載した変更届出書を提出しなければなりません。

URLの使用権限を疎明する資料
URLの届出の際には、古物商自身に使用権限があるものかどうか明らかにするために、次の資料のいずれかを添付書類として提出する必要があります。
- プロバイダ等が発行したドメイン割当通知書
- 「WHOIS検索」の検索結果をプリントアウトしたもの
- ヤフオクやamazon等のプロフィールページをプリントアウトしたもの
WHOIS(フーイズ)とは
WHOISとは、ドメインやIPアドレスを「誰が所有しているのか」といった登録情報を検索できるサービスのことです。
インターネットに接続できるのであれば誰でも利用することができます。
WHOISで公開される情報
WHOISで公開される情報は、主に次の通りです。
URLの使用権限を疎明する資料として使用するには、登録者情報にある氏名(Registrant Name)や組織名「Registrant Organaization」が重要になります。
- 登録ドメイン名
- レジストラ名
- 登録ドメイン名のネームサーバー
- ドメイン名の登録年月日
- ドメイン名の有効期限
- 登録者の情報
- 氏名(Registrant Name)
- 組織名(Registrant Organization)
- 国(Registrant Country)
- 郵便番号(Registrant Postal Code)
- 都道府県(Registrant State/Province)
- 市区町村(Registrant City)
- 丁目番地(Registrant Street)
- 建物名等(Registrant Street)
- メールアドレス(Registrant Email)
- 電話番号(Registrant Phone)
- FAX(Fax)
- 管理担当者の情報
- 技術担当者の情報 など
WHOIS情報の検索方法
WHOIS情報の検索は、属性型JPドメイン(「.co.jp」「.or.jp」など)やgTLDドメイン(「.com」「.net」など)を一括で検索できるこちらのサイトを利用するのが便利です。
検索ボックスに入力するのは、サイトのURLが「https://hayward-law.com」であるならば「hayward-law.com」の部分になります
gTLDドメイン(「.com」「.net」など)の場合、WHOISで検索した結果「Registrant Name」に古物営業許可者又は古物営業許可法人の代表者の氏名、「Registrant Organization」に古物営業許可法人の名称が記載されているのであれば、当該検索結果の画面をプリントアウトして「URLの使用権限を疎明する資料」とすることができます。

WHOIS情報の変更方法
レンタルサーバーを利用している場合、「WHOIS代理公開設定」などにより、そのレンタルサーバー会社の組織名や住所などがWHOISの情報として登録(上記画像参照)されていることがあります。
その場合には、会員メニューやアカウント設定から、WHOIS情報の変更(本人名義の登録者情報への書き換え)を行うことができます。

リンク - レンタルサーバー別WHOIS情報変更方法
- Xserver - Whois情報
- Sakura internet - Whois公開情報を変更したい(gTLDドメイン)
- Sakura internet - Whois公開情報を変更したい(汎用JPドメイン)
- ConoHa WING - WHOIS情報を設定する
- MuuMuu Domain - WHOIS情報の変更・確認方法
情報の登録は英語で行う
WHOIS情報は、定められた登録規則に沿って登録する必要があり、日本語ではなく、英語表記で行うことになります。
項目 | 入力する情報 | 英語表記 |
---|---|---|
組織名(Registrant Organization) | 株式会社○○○ | ○○○, Inc. (又は Ltd.) |
都道府県(Registrant State/Province) | 東京都 | Tokyo |
市区町村(Registrant City) | 中央区 | Chuo-ku |
丁目番地(Registrant Street) | 京橋3-3-13 | 3-3-13 Kyobashi |
建物名等(Registrant Street) | 平和ビル3号館3階 | Heiwa Bldg. No.3 3F |
届出後の手続「トップページの表示」
(法第12条第2項)
URLの届出をした後は、許可を受けていることを利用者に明らかにするため、また、無許可営業者を排除するために、次の三点をホームページに表示しなければなりません。
三点の表示義務
- 古物商の氏名又は法人名称
- 許可をした公安委員会の名称
- 許可証の番号(12桁)
「氏名又は法人名称」の表記は、許可証に記載されているもので、屋号等は使用できません
表示場所と方法
表示する場所は、その古物を取り扱うサイトの「トップーページ」と決められており、その表示の方法は、次の2通りとなります。
- トップページに上記三点を表示する方法
【表示例 1】
株式会社○○○ 東京都公安委員会
第************号
- トップページに「古物営業法に基づく表示」等の文言を表示し、上記三点が表記されているページへのリンクを貼る方法
【表示例2】
- 会社概要ページ等(リンク先)-
古物営業法に基づく表示
名称 | 株式会社○○○ |
許可公安委員会名 | 東京都公安委員会 |
許可証番号 | 第************号 |
表示の様式は特に定められてはいませんが、著しく小さい文字で又は不当に分かりにくい位置に表示することは、法に規定する表示とは認められません
Q&A
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ヤフオクでストア出店しないで1点ずつ出品する場合はURLの届出は不要とのことですが、古物商の許可も不要ですか
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ネット・オークションサイトに出店する・しないに関わらず、法の規定する古物営業にあたる方法で取引を行う場合には、古物商の許可が必要です。なお、自分で使用していたもの売る場合は、当然ですが、許可は不要です。
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現在、古着の買い取りを自社ホームページにて行っており、新たにアクセサリーの買い取りを始めようと思うのですが、この場合URLの届出は必要になりますか
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現在の古着の買い取りを行っているホームページにおいて、カテゴリーやサブディレクトリ等により分類してアクセサリーを取り扱うのであれば届出は必要ありませんが、新たにドメインを取得して行う場合は、そのURLについて届出が必要になります。