自社のウェブサイトを利用して古物の取引を行うには?古物商

白いノースリーブを着た女性

はじめに

古物営業を行うにあたり、自社の事業所以外に実店舗を別途構えるとなると、ランニングコストがかさみます。そのため、まずは自社のウェブサイトを活用し、オンラインでの取引を検討されている企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、ウェブサイトを利用して古物の取引を行うために必要な手続きや留意事項について、行政書士が詳しく解説します。

ウェブサイトで古物の取引を行うにはURLの届出が必要

自社のウェブサイト(会社ホームページなど)を利用して古物の売買を行う場合は、そのURLを管轄警察署を経由して都道府県公安委員会へ届け出る必要があります。既存のウェブサイトに限らず、新規にドメインを取得する場合も同様です。

URLの届出が必要になる3つのポイント

  • ウェブサイト(ホームページ等)を利用して
  • 古物の売買の申し込みを受け
  • 非対面により取引を行う

URLの届出が不要な場合

一方で、ウェブサイトは開設しているものの単なる会社のホームページなどで古物に関する記載がない場合や、古物に関する記載はあるものの実際の売買は相手方と対面して行う場合は、URLの届出は不要です。

  • 単なる会社のホームページで古物に関する記載がない場合
  • ウェブサイトから依頼を受け、相手方の住所において買い受ける場合(訪問買取)
  • 古物に該当しない物品(例:新品の衣服)の販売サイト など

ヤフオク!などのオークションサイトに、ストア出店(ヤフオク!ストア)ではなく、1点ずつ出品する場合もURLの届出は必要ありません。ただし、自社でインターネット・オークションサイトを開設する場合は「古物競りあっせん業者」に該当し、別途3号営業の届出が必要です。

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ウェブサイトのURL届出の方法

URLの届出は、古物商の許可申請時に行うこともできますし、許可取得後でも行うことができます。

許可申請と同時に行う場合

古物商の許可申請と同時に行う場合は、「別記様式第1号その4」にウェブサイトのURLを記載して、許可申請書(「別記様式第1号その1(ア)」「その2」など)とともに提出します。

URLはひとマスにひと文字を記入し、「l(小文字エル)」と「1(数字イチ)」や、「o(オー)」と「0(ゼロ)」など、判別しにくい文字についてはフリガナを記入します。

別記様式第1号その4におけるURL記入例
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許可取得後に行う場合

すでに古物商許可を取得している場合は、変更届としてURL届出を行います。書式は「別記様式第6号その3」にURLを記入して、「別記様式第6号その1(ア)」とともに提出します。

申請書のダウンロード警視庁

  • 別記様式第6号その1(ア)、その2(その2はURL届出においては不要)
  • 別記様式第6号その3
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届出先とその期限

URL追加の変更届の提出先は、営業所が1つの場合はその所在地の管轄警察署2つ以上ある場合はそのいずれかの管轄警察署で構いません。

なお、古物商の許可取得後にURL届出を行う場合、届出期限が定められています。ウェブサイトの開設等から14日以内に、変更届出書を提出しなければなりません。

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「URLの使用権限を疎明する資料」の添付が必要

URL届出時には、申請法人がそのURLを使用する権利を持つことを証明するため、以下のいずれかの資料を添付する必要があります。

  • プロバイダ等が発行したドメイン割当通知書
  • WHOIS検索」の検索結果をプリントアウトしたもの

ドメイン割当通知書とは

ドメイン割当通知書とは、レンタルサーバー会社等のプロバイダが発行したもので、以下の3点の記載のある書面をいいます。3点の記載があれば、「登録完了のお知らせ」や「ドメイン取得証」など、書面の名称は問いません

  • 登録者名
  • ドメイン
  • 発行元(プロバイダ名)

大阪府警では、ドメイン割当通知書は、メールでのやり取りやネットで取得したものでは不十分とし、郵送又はFAXで送付されたものに限るとしています。(参照:URL届出添付書類 / 大阪府警本部

WHOIS(フーイズ)検索とは

WHOIS検索(フーイズ検索)とは、ドメインの所有者などに関する情報を誰でも参照できるシステムです。具体的には、以下のサイトの検索ボックスにドメイン名を入力することで、そのドメインの登録情報を簡単に検索することができます。

なお、疎明資料として認められるためには、少なくとも、以下の項目について法人名等が確認できる必要があります。法人名等が記載されている場合は、そのページを印刷して提出してください。

  • Registrant Name(登録者名):古物商許可法人の代表者氏名(又は古物商の管理者氏名)
  • Registrant Organization(登録組織):古物営業許可法人の名称
WHOIS情報の一部抜粋
「.com」ドメインのWHOIS情報の一部抜粋
自社の記載がない場合は情報の変更が必要

レンタルサーバーを利用している場合、「WHOIS代理公開設定」などにより、そのレンタルサーバー会社の組織名や住所などがWHOISの情報として登録(上記画像参照)されているケースがほとんどです。

その場合、WHOIS情報を自社名義の登録者情報に書き換える必要がありますが、多くのレンタルサーバー会社では、会員メニューから変更申請を行うことができます。

登録者名が、他者(例:自社のウェブ担当者)になっている場合、その登録者から法人への「URL使用承諾書」を提出することで、届出を受理してもらう方法もあります。

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ウェブサイトを利用して古物の取引を行うことは「非対面取引」にあたり、法律で定められた方法により取引の相手方の本人確認を行う必要があります。

対面取引の場合とは異なり、単に運転免許証などの身分証明書を提示(送付)してもらうだけでは不十分です。また、本人確認をオンラインで完結するためには、eKYCやJPKIなどのシステムを導入する必要があるでしょう。

非対面取引でよく利用されている本人確認の方法

身分証明書の送付を受ける方法

  • 相手方から身分証明書等のコピーの送付を受け、その記載された住所宛に「転送不要」として簡易郵便等を送り、その到達を確認後本人名義の口座へ振り込む

ソフトウェアを用いる方法(eKYC / JPKI)

  • 古物商の提供するソフトウェアで相手方の容貌を撮影した画像及び写真付き身分証明書等に記載された住所、氏名及び生年月日(又は年齢)とその厚み等の特徴を撮影した画像の送信を受ける
  • 古物商の提供するソフトウェアで相手方の容貌を撮影した画像及び写真付き身分証明書等ICチップに記録された住所、氏名及び生年月日(又は年齢)の情報の送信を受ける
古物商 - 非対面取引における7つの本人確認の方法

インターネット等を利用して相手方と対面しないで行う取引について、法令で定められた相手方の確認方法を「確認に用いるもの別」に分類して行政書士が解説します。

ウェブサイトへの法人名等の掲載

URL届出後、古物商は自社ウェブサイトに以下の事項を掲載する必要があります。この措置は、無許可営業の防止と、適切に手続きを行った事業者であることを明示する目的があります。

3点の掲載義務

  • 古物商許可を受けた法人名称
  • 許可をした公安委員会の名称
  • 許可証の番号(12桁)
ウェブサイトへの氏名等の掲載義務 - 原則すべての古物商が対象に - 令和6年4月

古物営業法の一部改正により、古物商はウェブサイトへの氏名等の情報掲載が原則義務化されました。掲載内容や掲載対象、免除条件について解説します。

掲載場所とその方法

掲載する場所は、その古物を取り扱うウェブサイトの「トップページ」と決められており、その掲載の方法は、次の2通りとなります。

1. トップページに掲載する方法

【掲載例 1】

株式会社○○○ 東京都公安委員会 
第************号

2.トップページに「古物営業法に基づく表示」等の文言を表示し、上記項目が表記されているページへのリンクを貼る方法

【掲載例2】

- トップページ -

古物営業法の規定に基づく表示

古物営業法に基づく表示

名称株式会社○○○
許可公安委員会名東京都公安委員会
許可証番号第************号

表示の様式は特に定められてはいませんが、著しく小さい文字で又は不当に分かりにくい位置に表示することは、法に規定する表示とは認められません。

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Q&A

ウェブサイトはどの程度完成していればよいですか

弊所が問い合わせた警視庁管内の警察署では「WHOISで使用権限が確認できれば、ウェブサイトはまっさらの状態でも構わない」とのことでしたが、ある程度完成していることを要件とする場合もあるようなので、確認することをおすすめします。

現在、古着の買い取りを自社ホームページにて行っており、新たにアクセサリーの買い取りを始めようと思うのですが、新たにURLの届出は必要になりますか

現在の古着の買い取りを行っているウェブサイトにおいて、カテゴリーやサブディレクトリ等により分類してアクセサリーを取り扱うのであれば届出は必要ありませんが、別途ドメインを取得して行う場合は、そのURLについて届出が必要になります。