自転車転売には古物商許可必須!申請ポイントと買取時の注意点

階段に座る少年と立てかけられた自転車

はじめに

自転車は通勤、通学、買い物など日常生活で広く利用されるだけでなく、ロードレースやオリンピックなどの競技にも使用される、私たちの生活に密接に関わる乗り物です。多くの家庭に少なくとも一台はあると言っても過言ではありません。しかし、このような身近な自転車でも、中古品の売買には古物商許可が必要となります。

本記事では、中古自転車を取り扱うにあたり、古物商許可の必要性と申請のポイント、そして中古自転車を買い取る際の注意点について、行政書士が解説します。

中古自転車(古物)を営利目的で継続的に売買するためには、古物商許可を取得する必要があります。これは、古物営業法に基づくもので、盗品の流通を防ぎ、被害を早期に解決することを目的としています。

古物商許可を受けずに中古自転車の売買を行ってしまうと、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、あるいはその両方に科せられる可能性があります。以下のケースに該当する取引を行う場合は、必ず事前に古物商許可を取得するようにしましょう

  • 中古自転車を買い取って売る
  • (壊れた)中古自転車を買い取って修理して売る
  • 中古自転車を買い取ってパーツを売る
  • 中古自転車を買い取らず、売った後に手数料をもらう(委託売買)
  • 中古自転車を別のものと交換する(下取りを含む)
  • 中古自転車を買い取ってレンタルする(レンタサイクル・シェアサイクル)
  • 中古自転車を国内で買い取って海外に輸出する など
古物商許可が必要な下取りと不要な下取りの条件について解説

査定が伴う下取りには古物商許可が必要です。一方、サービスとしての値引きにあたる場合は不要です。その違いと具体的な条件について行政書士が解説。

古物商許可が不要なケース

一方で、営利目的ではない場合、例えば個人が自分の使用目的で中古自転車を購入する場合などは、古物商許可は必要ありません。また、無償でもらったり、引き取り手数料などを徴収して回収する場合も同様です。

  • 自分で使用していた中古自転車を売る
  • 無償でもらった中古自転車を売る
  • 相手から手数料をとって回収した中古自転車を売る
  • 自分が売った相手から中古自転車を買い戻す
  • 自分が海外で買ってきた中古自転車を日本国内で売る など

中古自転車を取り扱う際の古物商許可申請のポイントについて解説します。行商のメリットや、自転車類のパーツの取り扱いメルカリでの販売時のURL届出について詳しく説明します。

行商は「する」で申請

「行商」とは、「古物商が自らの営業所以外の場所で行う古物の取引」を指します。古物商の許可申請書では、行商を「する」または「しない」のいずれかを選択する必要があります。行商を「する」として申請していれば、例えば壊れて乗れなくなった自転車をお客様の住所まで回収しに行くことができます

行商を行う場合は、「古物商許可証」を携帯する必要があります。従業員が相手方の住所に出向いて買取等を行う場合は、「行商従業者証」を作成して携帯しなければなりません。

行商とは?古物商許可は「行商する」で申請すべき理由

行商とは「古物商が自らの営業所以外の場所で行う古物の取引」をいいます。従って「行商しない」として申請した場合、取引場所は「自らの営業所」に限られます。

「自転車類」でパーツもカバー

古物商の許可を申請する際には、「主として取り扱う古物(一つ)」と「営業所で取り扱う古物(複数可)」を選択することが求められます。中古自転車を取り扱う場合、「自転車類」を少なくとも「営業所で取り扱う古物」の一つとして選ぶ必要があります。「自転車類」には自転車本体だけでなく、フレームやサスペンションなどのパーツも含まれています

古物とは?3つの定義と13のカテゴリー

古物商許可に係る「古物」は、一般に言う「中古品」とは異なります。法律上の古物の3つの定義と13の区分を解説します。

メルカリに出品する場合はURLの届出が必要

買い取った中古自転車やそのパーツをメルカリなどのフリマアプリを利用して販売する場合、そのURLの届出が必要になります。既存のフリマアプリに限らず、自身でウェブサイトを立ち上げて中古自転車の売買の申し込みを受けるような場合も同様です。

URLの届出には「URLの使用権限があることを疎明する資料」の添付が必要です。

フリマアプリでの販売に古物商許可は必要?取得のメリットと注意点を解説

フリマアプリで中古品を出品する前に、古物商許可が必要かどうかを確認しましょう。違反すれば罰則も。許可取得のメリットや注意点、取得方法を解説します。

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中古自転車を買い取る際には、古物商に課せられる義務や防犯対策を遵守する必要があります。本人確認と帳簿への記録防犯登録の確認盗難自転車でないかの確認など、注意すべきポイントを詳しく解説します。

本人確認と帳簿への記録

古物商は、一定の古物の取引を行う際に、相手方の本人確認と帳簿へ記録する義務が課せられています。中古自転車(本体のほか、パーツを含む)の場合、総額1万円以上で買い取るときは、相手方の「氏名」「住所」「年齢」「職業」を法令に定められた方法により確認する必要があります。

また、その「取引年月日」「相手方の氏名等」「本人確認をした方法」などを記録した帳簿を作成し、営業所において3年間保存しておかなければなりません。

古物商の本人確認義務とは?対面取引における4つの確認方法

古物商は、古物の買取等を行う際に、相手方の本人確認をしなければなりません。本人確認が必要な古物や、対面取引での本人確認方法について、行政書士が詳しく解説します。

「防犯登録」が抹消されているか確認

防犯登録が抹消されていない中古自転車を買い取って販売した場合、登録名義は旧所有者のため、新所有者は警察から窃盗の容疑をかけれてしまう可能性があります。多くの場合、抹消は防犯登録の名義人しか行うことができません。また、抹消されていないと新たに登録することはできませんので、中古自転車を買い取る際には、防犯登録が抹消されているか確認が必要です。

なお、罰則はありませんが、防犯登録を受けることは義務となっています。防犯登録は、盗品等の売買の防止や被害品の早期発見につながりますので、中古自転車の購入者には防犯登録を促しましょう

防犯登録は、各都道府県単位で運営されており全国共通ではありませんので、登録抹消の手続など異なる場合があります。

盗難自転車ではないか確認

警察庁が発表した「刑法犯に関する統計資料」によると、令和4年(2022年)の自転車盗の認知件数(下表)は、128,883件にも上ります。これは、4分に1台のペースで自転車が盗まれていることになります。

したがって、中古自転車における古物商の本人確認義務は1万円以上で買い取る場合に課せられるものですが、1万円未満での買取を行う場合でも身分証明書等による本人確認を行い、防犯登録の名義と売却者の同一性を確認することが重要です。

また、盗品であることが発覚した場合は、直ちに管轄警察署に申告する必要があります。「不正品の申告」は、「相手方の本人確認」や「帳簿への記録」と並び、古物商の防犯三大義務のひとつです。

令和元年令和2年令和3年令和4年
認知件数168,703120,797106,585128,883
検挙件数11,0049,5598,5088,936
検挙人員6,4075,4284,2434,515

盗品であることを知りながら買い取ってしまった場合、刑法第256条第2項「盗品等有償譲受罪」に問われる可能性があります。有罪となってしまった場合の刑罰は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金となります。

古物商の不正品の申告義務 - 申告時期は?どうやって見分ける?

古物商は、買取等を行う古物に盗品等の疑いがあるときは、直ちに警察に申告する義務があり、違反した場合、営業停止命令等を受ける可能性があります。

まとめ

中古自転車を営利目的で継続的に売買するのであれば、事前に古物商許可を取得する必要があります。

  • 行商の申請:行商「する」として申請しておけば、お客様の住所で中古自転車の買取を行えます。
  • インターネット販売の届出:メルカリなどを利用して中古自転車を販売する場合、URLの届出が必要になります。
  • 本人確認と帳簿への記録:中古自転車やパーツを総額1万円以上で買い取る場合、相手方の本人確認と帳簿への記録義務が課せられます。
  • 防犯登録の確認と促進:中古自転車の買取の際には防犯登録の抹消を確認し、販売時には購入者に防犯登録を促しましょう。
  • 盗品防止:盗品の買取を防ぐため、防犯登録の名義と売却者の同一性を確認しましょう。
ラップトップの前で頭を抱える女性

古物商の申請って
意外と面倒…

忙しくて時間が
取れない…

電動自転車も「自転車類」に含まれますか

はい、最近普及している電動自転車のほか、一輪車や三輪車も「自転車類」に含まれます。なお、原動付自転車(原付バイク)は、「自動二輪車及び原動付自転車」の区分になります。

防犯登録の抹消や登録はどこでできますか

防犯登録の抹消や登録は、「自転車防犯登録所」の看板が掲示してある防犯登録所(自転車店・スーパー・ホームセンター等)にて手続きをすることができます。なお、東京都の場合、防犯登録を抹消するには、以下のものが必要となります。

  • 自転車本体
  • 身分証明書(運転免許証や健康保険証、外国籍の方は外国人登録証明書など)