仮設店舗とは?営業に必要な手続きや注意点を解説【記載例付】

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はじめに

「仮設店舗とはどういう店舗?」

「仮設店舗での営業に必要な手続きは?」

古物商における仮設店舗とは、営業所以外の場所に一時的に設けられる店舗で、容易に移動可能なものを指します。これは、2018年の古物営業法一部改正により導入された制度で、仮設店舗で営業を行うためには、事前に届出が必要です。

本記事では、仮設店舗での営業に関する具体的な手続きや注意点について、行政書士が解説します。

古物商は、「行商する」として許可を受けている場合、自らの営業所以外の場所でも古物の取引を行うことができます。ただし、古物商以外の一般の方(法人を含む)から古物を買い受ける際は、古物営業法第14条の規定により、取引場所は「自らの営業所」または「相手方の住所」に限られます(営業の制限)。

しかし、あらかじめ日時および場所を届出することで、営業所以外の場所に設置した「仮設店舗」で古物の買い受け等を行うことが可能になります。つまり、仮設店舗営業とは、「営業の制限」の例外にあたり、「自らの営業所」または「相手方の住所」以外の場所で、古物商以外の一般の方から古物の買い受け等を行う営業を指します。

行商とは?古物商許可は「行商する」で申請すべき理由

行商とは「古物商が自らの営業所以外の場所で行う古物の取引」をいいます。従って「行商しない」として申請した場合、取引場所は「自らの営業所」に限られます。

仮設店舗とはどういう店舗?

仮設店舗とは、「営業所以外の場所に仮に設けられる店舗であって、容易に移転することをができるもの」をいい、具体的には以下のような形態を指します。

  • 催事場等のイベントブース
  • 車両を駐車して店舗として用いる出店
  • 屋台 など

「仮に設けられる店舗…」ですので、マンションやビル等の一室のように、容易に移転することできないものや、継続的に営業を行うために設けられた店舗は、仮設店舗営業の対象とはなりません。

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届出は「3日前まで」

仮設店舗営業の届出は、仮設店舗において営業を行う3日前までに行う必要があります。営業を行う「3日前まで」とは、中3日を設けるということです。したがって、届出期限となる「3日前の日」が、土日祝日により、警察署の閉庁日にあたるときは、その「直前」の開庁日が届出期限となります。

営業開始日と届出期限例

例:令和6年10月12日(土曜日)から仮設店舗営業を行う場合

  • 12日(土)から中3日を空けた8日(火)が届出期限となります。

例:令和6年10月18日(金曜日)から仮設店舗営業を行う場合

  • 18日(金)の営業日から中3日空けた14日(月)は祝日にあたり、さらに13日(日)と12日(土)が連続する休日となるため、その直前の11日(金)が届出期限となります。

届出書の提出先

仮設店舗営業の届出書の提出先は、仮設店舗を設置する場所を管轄する警察署になります。ただし、仮設店舗の設置場所となる都道府県内に営業所がない場合は、他の都道府県にある営業所の所在地を管轄する警察署を経由して行うこともできます。

  • 仮設店舗の設置場所の都道府県に営業所がある場合
    • ① 仮設店舗の設置場所を管轄する警察署
  • 仮設店舗の設置場所の都道府県に営業所がない場合(以下のいずれか)
    • ② 仮設店舗の設置場所を管轄する警察署
    • ③ 仮設店舗の設置場所以外の都道府県にある営業の所在地を管轄する警察署

届出書の提出先例

①の例:仮設店舗の設置場所が「文京区」で、営業所が「港区」にある場合

  • 仮設店舗の設置場所を管轄する「文京区」の警察署に提出する必要があります。

③の例:仮設店舗の設置場所が「大阪府」で、営業所が「東京都」にしかない場合

  • 東京都にある営業所の所在地を管轄する警察署に提出することができます。
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オンラインでも届出ができる

令和6年1月4日から、以下の警察行政手続サイトから、オンラインで仮設店舗営業の届出を行えるようになりました。ただし、オンラインで手続きが行えるのは、仮設店舗の設置場所を管轄する警察署へ届出を行う場合に限られます(上記①または②の場合のみ)。

オンラインで届出を行う場合でも、営業を行う3日前までに警察署へ届出が到達していなければなりません。届出内容に不備があると受理とはみなされないことがあるため、手続きは余裕を持って行うことが重要です。

営業に際しての注意点

仮設店舗での営業は、行商にあたるため、「行商する」として届出を行っていなければなりません。また、古物商は「古物商許可証」を、その従業員等は「行商従業者証」を携帯する必要があります。なお、営業中は、公衆の見えやすい位置に「標識」を掲示しておかなければなりません。

古物商の標識サンプル

仮設店舗での営業でも、「相手方の本人確認」「取引の帳簿への記録」等の義務は課せられていますので、確実に履行するようにしましょう。

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届出書のダウンロード

仮設店舗営業届出書の様式は「別記様式第14号の2」となります。多くの場合、各都道府県警察のホームページからダウンロードすることができます。

別記様式第14号の2のダウンロード(警視庁)

① 届出書の提出日

仮設店舗営業届出書を警察署に提出する日付を記入してください。オンラインで手続きを行う場合は、送信する日になります。

② 提出先

提出先となる警察署がある都道府県を記入してください。

③ 届出者の氏名等

個人許可者の場合は、古物商の住所と氏名を記入してください。

法人の場合は、法人住所と法人名、役職名、代表者氏名を記入してください。

④ 許可証番号等

古物商許可証に記載されている通りに記入してください。

なお、フリガナに関しては、個人名は姓と名の間をひとマス空け、法人名は「株式会社」などの法人種別を省略します。また、濁点・半濁点はひとマスとして数えます。

⑤ 日時・場所

日時は、具体的に記入してください。なお、長期間となる場合、仮設店舗として認められない可能性もありますので、その場合は、事前に警察署に確認してください。

場所は、住所のほか、建物名や階数など、できる限り詳しく記入してください。

複数の設置場所を届け出る場合

複数の設置場所を届け出る場合、その場所がすべて同一の警察署の管轄内である必要があります。上記記載例でいうと、「1」と「2」の仮設店舗設置場所の管轄警察署は、いずれも「警視庁中央警察署」になります。管轄警察署が異なる場合は、別途届出書を作成する必要があります。

まとめ

「自らの営業所」または「相手方の住所」以外の場所で、古物商以外の方から古物の買い受け等を行う場合、仮設店舗営業の届出が必要です。届出は営業を行う3日前までに行う必要があり、オンラインでも手続きが可能です。

なお、届出を怠った場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に科せられる可能性があります。さらに、仮設店舗での営業中は、古物商許可証の携帯や標識の掲示など、法令に基づいた義務を遵守する必要があります。

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