フリマアプリでの販売に古物商許可は必要?取得のメリットと注意点を解説

ストライプのワンピースを着た女性

近年、メルカリやラクマ、Yahoo!フリマなどのフリマアプリは、手軽に出品・購入ができるとして、多くの人に利用されています。しかし、古物(中古品)をフリマアプリで販売する場合には、古物商許可が必要となる場合があります

古物商許可とは、古物の売買を業として行うために必要な許可です。古物とは、一度使用された物品等のことを指し、具体的には、美術品、貴金属、ブランド品、書籍、衣類、家具、家電製品などが含まれます。

メルカリなどのフリマアプリで古物を出品した場合、古物商許可を持っていないと、古物営業法違反となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

フリマアプリで古物商許可が必要となるケース

古物商許可が必要となる「古物営業」とは、古物の売買を営利目的で継続的に行うことを指します。そのため、たとえ一度の取引であっても、それが営利目的で継続的な意思の下に行われたのであれば、古物営業とみなされ、古物商許可が必要であるとされています。(最高裁昭和31年3月29日判決)

  • 古物を買い取って売る
    • リサイクルショップで仕入れたものをフリマアプリで売る
    • フリマアプリで仕入れたものを別のフリマアプリで売る など
  • 古物を買い取って修理して売る
  • 古物を買い取って部分的に売る
  • 国内で買い取った古物を国外で売る など
古物商とは?許可が必要な7つの取引と不要な5つの取引

古物商とは、営利目的で中古品の売買を行う許可を公安委員会から受けた者をいいます。許可が必要なケースと不要なケースについて行政書士が解説。

「未使用」「未開封」でも法律上「古物」にあたります

一度小売店から一般消費者のもとに渡った品物は、たとえ未使用・未開封であっても、法律上の「古物(中古品)」にあたります。

したがって、メルカリなどのフリマアプリにおいて「未使用」や「未開封」として掲載されているものを仕入れて転売する場合、古物商許可が必要ということになります。

古物とは?3つの定義と13のカテゴリー

古物商許可に係る「古物」は、一般に言う「中古品」とは異なります。法律上の古物の3つの定義と13の区分を解説します。

フリマアプリで古物商許可なしで販売できるケース

自己使用のために購入しその後不要になったものや、プレゼントとして無償でもらったものなどを売る場合は「営利目的」に該当しませんので、古物商許可は必要ありません。

しかし、自己使用といいながら、実際は転売(営利目的)のために古物の取引を行っているのであれば、当然、古物商許可が必要です。自己使用かどうかは、取引している物品や頻度などから客観的に判断されることになります。

  • 自分のものを売る
  • 無償でもらったものを売る
  • 海外で買ってきたものを売る など

化粧品やお酒など、消費してなくなるものを売る場合も、古物商許可は不要です。

古物商許可を取得すると、メルカリをはじめフリマアプリで自由に古物の取引を行えるようになるほか、古物市場での仕入れや、インボイス制度における税制上の優遇措置など、様々なメリットがあります。一方で、古物商許可を受けた以上、古物営業法をしっかり修得し遵守する必要があります。

メリット1:古物市場で仕入れができる

古物商許可を取得すると「古物市場(こぶついちば)」に参加できるようになります。古物市場とは、古物商許可を持つ方のみが参加できる中古品市場です。普段フリマアプリなど一般の市場ではなかなか見かけない掘り出し物が見つかるかもしれません。

東京都 古物市場」などで検索すれば、多様な市場の情報を見つけることができます。

メリット2:「古物商特例」を受けられる

古物商であれば、インボイス発行事業者ではない取引相手(例:一般消費者)でも、一定の事項を記載した帳簿の保存等を行えば、仕入税額控除が認められる特例を受けることができます。

フリマアプリのユーザーは、個人(一般消費者)による利用が圧倒的です。自身が課税事業者である場合、大きな恩恵を受けられるでしょう。

インボイス制度における「古物商特例」の4つのポイント

古物商特例が適用される条件とは?「取引の相手方」や「帳簿の記載事項」など、古物商特例の4つのポイントについて行政書士が解説します。

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注意点1:取得費用がかかる

古物商許可を取得するには、少なくとも、申請手数料19,000円を国に納付する必要があります。決して安くはない金額です。また、住民票や市区町村発行の身分証明書の発行費用、市役所や警察署への交通費が別途かかります。

なお、警察による審査の結果、「不許可」となった場合でも、申請手数料19,000円は返金されませんので、事前に許可要件について、しっかりと確認しておく必要があります。

古物商の申請費用は個人と法人で変わる?公的書類の発行費用や節約のコツを紹介

「古物商許可が必要だけど、実際、いくらかかる?」許可申請に必要な費用や公的書類について、個人と法人での違いや節約のコツを詳しく解説します。

注意点2:本人確認などの義務が課せられる

古物営業法の目的は、盗品の流通防止や被害の迅速な回復等にあります。そのため、古物商には、防犯三大義務(「取引相手の本人確認」「帳簿への記載」「不正品の報告」)など、一定の義務が課せられています。義務違反があった場合は、罰則が科せられる可能性があります。

古物商の本人確認義務とは?対面取引における4つの確認方法

古物商は、古物の買取等を行う際に、相手方の本人確認をしなければなりません。本人確認が必要な古物や、対面取引での本人確認方法について、行政書士が詳しく解説します。

フリマアプリのプロフページに氏名等の掲載が必要

令和6年4月1日より、メルカリなどのフリマアプリ(インターネット)を利用して古物の取引を行うことを公安委員会に届け出ている古物商を「特定古物商」と呼称するようになりました。

特定古物商は、フリマアプリのショッププロフィールページに、以下の事項を掲載しなければなりません。

  • 氏名又は名称
  • 許可をした公安員会の名称
  • 許可証番号
ウェブサイトへの氏名等の掲載義務 - 原則すべての古物商が対象に - 令和6年4月

古物営業法の一部改正により、古物商はウェブサイトへの氏名等の情報掲載が原則義務化されました。掲載内容や掲載対象、免除条件について解説します。

古物商許可を取得するには、古物商の営業所とする物件の所在地を管轄する警察署への申請が必要です。申請には、以下の通り、許可申請書のほか、住民票、略歴書などの書類を添付する必要があります。

  • 古物商許可申請書
  • 本籍の記載のある住民票
  • 本籍の市区町村発行の身分証明書
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 定款の写し(法人の場合)
  • 直近5年間の略歴書
  • 管轄警察署によって必要になる書類(営業所の使用承諾書など)

フリマアプリのショップURLの届出と疎明資料の提出が必要

メルカリなどのフリマアプリを利用して中古品の取引を行う場合、そのURLを届け出る必要があります。また、上記書類に加えて、そのURLを使用する権限があることを疎明する資料の提出も必要です。

  • URLの届出(メルカリの場合:ショップのプロフィールページのURL
  • URLの使用権限があることを疎明する資料

難しかったら行政書士に依頼しよう

古物商許可の申請は、自分で行うこともできますが、行政書士に依頼することもできます。行政書士に依頼すれば、費用はかかりますが、必要最小限の手間と時間で、古物商許可を受けることができます。

また、古物商許可の申請は、警察署の開庁日である平日の日中に行う必要があります。行政書士に申請の代行まで依頼すれば、仕事を休まずに古物商許可を取得できます。

行政書士に申請代行を依頼する3つのメリットと費用の相場 - 古物商

古物商の許可申請を行政書士に依頼した場合の3つのメリットを具体的事案から考察し、その費用の相場について行政書士が解説します。

  • 営利目的で継続的に古物の売買を行う場合、古物商許可が必要です。
  • 一方で、自分のものや無償でもらったものを売る場合は、許可は不要です。
  • 古物商許可を取得すると、「古物市場」に参加できたり、インボイス制度における「古物商特例」を受けられるといったメリットがあります。
  • 一方で、古物商許可の取得には、19,000円の申請手数料の納付が必要であったり、「取引相手の本人確認」などの義務が課せられます。
  • 古物商許可の申請は、自分で行うこともできますが、専門の行政書士に依頼すればスムーズに許可を取得することができます。

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古物商許可の更新は必要ですか?

古物商許可に更新はありません。許可を取り消されるか、許可証を自主的に返納しない限り有効です。

古物商許可の取得にはどれくらいの時間がかかりますか?

古物商許可が下りるまでは、警察署において申請が受理されてから、約2か月間かかります。特に自分で申請する場合は、申請書や住民票など必要書類を揃えるのにも時間がかかるため、余裕をもって準備を行いましょう。

代表取締役が個人で取得したフリマアプリのアカウントで、法人が申請することはできますか?

いいえ、できません。代表取締役の個人名義のアカウントを使って、法人が古物の取引を行うことは「名義貸し」にあたる可能性があり、禁止されています。法人名義で新規にアカウントを取得する必要があります。

個人許可と法人許可の違いや名義変更の可否について解説 - 古物商

古物商許可は、個人で取得する場合と法人で取得する場合がありますが、その違いとは?名義変更の可否やどちらで許可を取るべきかについて行政書士が解説します。