古物商許可が必要な下取りと不要な下取りの条件について解説
はじめに
近年、スマートフォンや家電製品等の買い替え需要を喚起するため、新品販売と中古品下取りを組み合わせたサービスを提供する企業が増加しています。消費者にとっても、古い製品を処分する手間が省け、お得な価格で新しい製品を購入できるという魅力的なサービスです。
しかし、このようなサービスを提供する場合、古物商許可の取得が必要となるケースと不要なケースがあることをご存知でしょうか?
本記事では、古物営業法に基づき、古物商の定義と下取りとの関係性、そして古物商許可が不要とされる下取りの条件について、行政書士がわかりやすく解説します。
目次
古物商とは
古物商とは、古物営業法に基づいて、中古品の売買や交換を業として行う者のことを指します。古物営業法は、盗品等の売買防止と速やかな発見を目的として制定された法律です。
古物営業法第2条第2項第1号によると、古物商は「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」を行う者と定義されています。つまり、中古品を扱う事業者は、原則として古物商の許可を取得する必要があります。
下取りと古物営業の関係
新品を販売する事業者が、顧客から古い製品を下取りする場合、通常は古物の買取りを行っていることになります。したがって、これを業として行う場合、古物営業法第2条第2項第1号に該当し、古物商の許可が必要となります。
しかし、特定の条件を満たす場合、下取りが「サービス」としての値引きとみなされ、古物営業に該当しないケースがあります。
古物商許可が不要な下取り
「サービス」としての値引きとは、新品の販売に伴う下取り行為が、顧客に対するサービスの一環として行われる場合を指します。この場合、古物営業には該当せず、古物商の許可は不要となります。
「サービス」としての値引きとは
警察庁生活安全局生活安全企画課長による通達では、「サービス」としての値引きに該当する条件として、以下の形式的要件と実質的要件の両方を満たす必要があるとしています。
形式的要件
下取りした古物の対価として金銭等を直接支払うのではなく、販売する新品の本来の売価から一定金額を差し引く形での経理上の処理が行われていること
実質的要件
- 下取りが、顧客に対する「サービス」の一環であるという当事者の意思があること
- 下取りする個々の古物の市場価格を考慮しないこと
ここで言う「サービス」とは、「商売で値引きをしたり、客の便宜を図ったりすること(広辞苑(第7版)」を指します。
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「サービス」としての値引きと古物営業の違い
「サービス」としての値引きと古物営業の主な違いは、以下の点にあります。この区別は非常に重要で、事業者にとって法的な影響が大きいため、正確に理解する必要があります。
取引の目的
- 「サービス」としての値引き:顧客サービスの一環として行われる
- 古物営業:中古品の売買自体が目的
価格の決定方法
- 「サービス」としての値引き:個々の古物の市場価格を考慮しない
- 古物営業:個々の古物の状態や市場価値に基づいて価格を決定
経理処理
- 「サービス」としての値引き:新品の売価から一定金額を差し引く形で処理
- 古物営業:古物の買取りとして別個の取引として処理
法的規制
- 「サービス」としての値引き:古物営業法の規制対象外
- 古物営業:古物営業法の規制対象
「サービス」としての値引きと古物営業の比較一覧
サービスとしての値引き | 古物営業 | |
---|---|---|
取引の目的 | 顧客サービスの一環として行われる | 中古品の売買自体が目的 |
価格の決定方法 | 市場価格を考慮しない | 状態や市場価格に基づいて決定 |
経理処理 | 新品の売価から一定金額を差し引く | 古物の買取として別個の取引として処理 |
法的規制 | 古物営業法の規制対象外 | 古物営業法の規制対象 |
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「サービス」としての値引きの具体例
「サービス」としての値引きの具体例として、以下のようなケースが考えられます。
家電量販店での下取りキャンペーン
新しいテレビを購入する際に、古いテレビの型番や状態に関わらず一律10,000円の値引きを行う場合。
自動車ディーラーでの下取り
新車購入時に、古い車の下取りを行い、その際に車種や年式に関わらず一定額の値引きを行う場合。
スマートフォンの買い替えキャンペーン
新機種への買い替え時に、古い機種の状態に関わらず一定額の値引きを行う場合。
これらのケースでは、下取りする古物の個別の市場価値を考慮せず、顧客サービスの一環として一律の値引きを行っているため、「サービス」としての値引きとみなされ、古物商の許可は必要ありません。
自身が販売した相手から、販売した商品を買い戻す場合、古物営業法に基づく古物営業には該当しないため、下取りの方法に関わらず古物商許可は不要です。
補足情報
以前、ソフトバンクは古物商許可を取得していないにも関わらず、iPhoneのモデルや容量によって下取り価格を変更していたため、警視庁から指摘されたことがあります。
古物商許可が必要な下取り
一方で、以下のようなケースでは、古物商の許可が必要となる可能性が高くなります。
- 下取りした商品の状態や市場価値に応じて買取価格を変動させる場合
- 下取りした商品を別途販売する意図がある場合
- 下取りした商品の対価として直接現金を支払う場合
これらのケースでは、単なる「サービス」としての値引きではなく、古物営業法に基づく古物商としての営業といえるでしょう。
クーポンやポイントを付与する場合
下取りした商品の対価として、一律のクーポン券やポイントを付与する場合、それが「財産権」であれば、古物との「交換」にあたるため、古物商許可が必要です。
一方で、財産権に当たらないクーポン等とは、一般的に以下のような特徴を持つものが考えられます。ただし、具体的な判断は個別の事例によって異なる場合があるため、自社のポイントやクーポン制度が古物営業法に抵触する可能性がないか、十分に検討する必要があります。
- 金銭的価値がない又は極めて小さい
- 使用範囲が限定的
- 使用期限が短い
- 譲渡ができない など
古物商の許可申請手続き
古物営業を行う場合、管轄の警察署に古物商許可申請を行う必要があります。申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 古物商許可申請書
- (本籍の記載のある)住民票
- (本籍の市区町村発行の)身分証明書
- 略歴書
- 誓約書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 定款の写し(法人の場合)
申請後、審査を経て許可が下りるまでには通常2ヶ月程度かかります。また、許可が下りた後は、古物台帳の作成や標識の掲示など、古物営業法で定められた義務を遵守する必要があります。
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まとめ
新品販売に伴う下取りが「サービス」としての値引きに該当するか、それとも古物営業に該当するかは、その取引の実態によって判断されます。「サービス」としての値引きとして認められるためには、形式的要件と実質的要件を満たす必要があります。
具体的には、古物の状態や市場価値を基に価格を設定する場合は、古物商許可が必要です。一方、査定をせずに一律価格での下取りを行う場合は、許可は不要です。
事業者は、自社の下取り行為が古物営業に該当するかどうかを慎重に検討し、必要に応じて古物商の許可を取得する必要があります。法的な解釈が必要な場面も多いため、不明な点がある場合は、所轄の警察署や専門家に相談することをおすすめします。適切な対応を取ることで、法令遵守と顧客サービスの両立を図ることができるでしょう。