外国人が古物商許可を取得するには?必要な在留資格と申請の注意点

手を差し伸べる女性

はじめに

日本国内で営利目的で中古品の取引を行う場合、「古物商許可」を取得する必要があります。これは日本人に限らず、在留資格を有し日本に滞在する外国人も同様です。日本のように中古品取引に対して包括的な許可制度を導入している国は珍しいですが、無許可営業には重い罰則が規定されているため、必ず事前に許可を取得しましょう。

本記事では、外国人が日本で古物商許可を取得するために必要な在留資格や申請の注意点について、行政書士が詳しく解説します。

古物商許可とは、日本で中古品の取引を営利目的で行う際に必要な、都道府県公安委員会が発行する公的な許可です。取引には、中古品の「売買」のほか、「交換」や「レンタル」「輸出」なども含まれます。

古物商許可を取得するためには、所定の申請書および添付書類を管轄の警察署に提出し、書類審査を受ける必要があります。審査を通過すると「古物商許可証」が交付され、これにより事業者は中古品の取引を適法かつ継続的に行うことが可能になります。

古物商とは?許可が必要な7つの取引と不要な5つの取引

古物商とは、営利目的で中古品の売買を行う許可を公安委員会から受けた者をいいます。許可が必要なケースと不要なケースについて行政書士が解説。

個人許可と法人許可の違い

古物商許可には、個人許可と法人許可があります。これは名義の違いによるものであり、許可される営業内容に違いはありません。名義の違いとは、例えば、代表取締役が個人で取得した古物商許可を用いてその法人が古物営業を行うことはできないということです。

このような行為は「名義貸し」に該当し、懲役刑や罰金などの重い罰則が科される可能性があるため、十分な注意が必要です。

個人許可と法人許可の違いや名義変更の可否について解説 - 古物商

古物商許可は、個人で取得する場合と法人で取得する場合がありますが、その違いとは?名義変更の可否やどちらで許可を取るべきかについて行政書士が解説します。

古物商許可を取得できる在留資格は、就労制限のない身分系の「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」と、就労系で業種や業態の制限がない「経営・管理」です。

一方、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」の在留資格では、古物営業が資格外活動に該当する可能性が高く、資格外活動許可を得ることも難しいため、原則として許可を取得することはできません。

在留資格個人許可法人許可(役員)管理者
永住者
永住者の配偶者等
日本人の配偶者等
定住者
経営・管理
技術・人文知識・国際業務原則不可原則不可
企業内転勤原則不可原則不可

管理者には日本語能力を求められる場合がある

古物商の営業所には、常勤・常駐可能な「管理者(現場責任者)」を必ず1名選任する必要があります。役員が営業所に常勤している場合、その役員を管理者として選任することも可能です。

管理者には、上記の表の通り、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」の在留資格を持つ方を選任できます。ただし、管轄警察署によっては、「古物商の義務である相手方の確認や帳簿への記録の履行が困難である」との理由から、日本語が全くできない方は管理者として認められない場合がありますので、注意が必要です。

古物商許可 - 管理者の役割と選任時の注意点

必ず選任することを求められる「管理者」とは、一体どのような役職なのでしょうか。職務や要件、制度について、行政書士が解説します。

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古物商許可取得に必要な在留資格を有していても、以下の欠格事由のいずれかに該当する場合、許可を受けることはできません。また、法人の場合、役員の中に一人でも欠格事由に該当する方がいると、その法人も許可を取得できないため、事前によく確認する必要があります。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない方
  • 禁錮刑以上に処せられ、又は一定の犯罪※により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して5年を経過しない方
  • 暴力団員又はその関係者、暴対法違反により処分を受けた方
  • 住居の定まらない方
  • 古物営業の許可を取り消されてから5年を経過してない方
  • 心身の故障により古物商・管理者の業務を適正に実施することができない方
  • 未成年者(管理者のみ)

一定の犯罪とは、古物営業法「無許可営業」「不正手段による許可取得」「名義貸し」「営業停止処分中の営業」及び、刑法「窃盗」「背任」「遺失物横領」「盗品等運搬・保管・有償譲受け・有償処分のあっせん」を指します。

古物商許可を受けられない8つの理由 - 欠格事由

古物商許可取得には法令で定められた「欠格事由」の確認が必須です。破産、犯罪、暴力団関係等、8つのNG条件を分かりやすく解説!

日本人と外国人では、許可申請に必要な書類に以下のような違いがあります。

「本籍の市区町村発行の身分証明書」の提出は不要

「本籍の市区町村発行の身分証明書」とは、パスポートや在留カードなどのことではなく、欠格事由の一つである破産手続き開始決定を受けていないことを証明する書面です。外国人には本籍地がないため、「本籍の市区町村が発行する身分証明書」の提出は不要です。

住民票には「国籍」等の記載が必要

日本人の場合、住民票に本籍の記載が必要ですが、外国人の場合は本籍がないため、代わりに「国籍」「在留資格等」「在留カード番号」の記載がある住民票を用意する必要があります。

「在留カード」の表裏コピー

在留カードのコピーは法定書類ではありませんが、都道府県警察によっては提出を求められることがあります。求められない場合でも、添付することで申請がスムーズに進むため、可能であれば提出することをお勧めします。

個人申請法人申請
許可申請書必要必要
「国籍」等の記載のある住民票申請者及び管理者全役員及び管理者
本籍の市区町村発行の身分証明書外国人の場合、不要外国人の場合、不要
略歴書申請者及び管理者全役員及び管理者
誓約書申請者及び管理者全役員及び管理者
登記事項証明書不要必要
定款の写し不要必要
URL疎明資料インターネットを利用する場合インターネットを利用する場合
在留カードの表裏コピー都道府県警察による都道府県警察による
営業所の使用承諾書など都道府県警察による都道府県警察による
自社のウェブサイトを利用して古物の取引を行うには?古物商

ウェブサイトで古物の取引をする際の手続き方法を行政書士が解説。URL届出、疎明資料、本人確認、法人名掲載など注意点をまとめています。

古物商許可申請では、申請書類はすべて定められた書式で日本語による作成が必要です。そのため、外国人の方にとっては特に難しく感じられることがあります。また、申請時に警察から日本語で質問を受ける可能性もあり、不安を感じる方も多いと思われます。

このような不安をお持ちの方は、ヘイワード行政書士事務所にご相談ください。当事務所では、外国人の許可取得実績のある行政書士が、申請書の作成から住民票などの公的書類の取得まで、責任を持って対応いたします。また、東京都・千葉県の警察署については申請手続きの代行も可能なため、警察署へ直接出向くことなく許可を取得できます

翻訳可能な「古物営業ガイド」をご提供

古物商には「相手方の確認」や「取引の記録」など、さまざまな義務が課されています。これらに違反した場合、罰金などの刑事罰や営業停止命令といった行政処分を受ける可能性があります。また、処分を受けた場合、在留期間の更新に悪影響を及ぼすおそれもあるため、課せられた義務を十分に理解し、確実に履行することが重要です。

ヘイワード行政書士事務所では、古物商の義務や関連法令について解説した「古物営業ガイド」を提供しています。このガイドはウェブベースでご提供しますので、簡単に母国語に翻訳して、必要な時にいつでもご確認いただけます。

許可取得後の「変更届出」もサポート

古物商許可取得後、本社の移転や役員の選解任など変更が生じた場合は、定められた期限内に警察署へ届け出を行う必要があります。ヘイワード行政書士事務所では、許可申請をご依頼いただいた方限定で、各種変更届出書の作成を特別価格で承ります。

万が一、届出期限を過ぎてしまった場合でも、管轄警察署と連携し、届出が受理されるよう対応いたします。許可取得後のコンプライアンスも安心してお任せください。

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日本に居住していない(在留資格を有しない)役員がいる場合、その役員に関する申請は不要ですか?

日本に居住しているかどうかにかかわらず、登記されている役員全員について申請書に記載し、略歴書などの添付書類を提出する必要があります。ただし、日本に居住していない場合は住民票がないため、代わりに「本国での住民票に相当する書類」や「パスポートのコピー」などを提出する必要があります。具体的な必要書類については、管轄の警察署に確認することをお勧めします。

母国(日本国外)で仕入れた中古品を日本国内で販売(輸入販売)するのに古物商許可は必要ですか?

直接海外で買い付けた中古品を日本に輸入して販売する場合、古物商許可は不要です。ただし、他事業者が輸入したものを日本国内で買い取って販売する場合は、国内の盗品等が混在する可能性があるため、古物商許可が必要となります。