法人許可に必要な登記事項証明書の3つの請求方法と確認すべき情報 - 古物商
はじめに
「登記事項証明書ってなに?」
「交付請求の方法がよくわからない」
法人が古物商許可を取得するためには、添付書類として、その法人に関する「登記事項証明書」の提出が必要です。
今回は、登記事項証明書の3つの請求方法(「窓口」「オンライン請求郵送受取」「オンライン請求窓口受取」)や古物商許可申請の際に確認すべき記載情報について行政書士が解説します。
登記簿謄本と登記事項証明書の違い
登記簿謄本と登記事項証明書は、どちらもその証明内容は同じです。
その違いはというと、情報が電子化されているか否かです。
従前の紙ベースで管理していたものを「登記簿謄本」と呼び、登記所のコンピュータ化以降の電子化されたものを「登記事項証明書」と呼びます。
このコンピュータ化により、管轄外の法務局からでも登記事項証明書が取得することができるようになりました
商業・法人登記における4つの登記事項証明書
登記事項証明書の種類とその記載内容について簡単に確認しておきましょう。
商業・法人登記における登記事項証明書は4つに分類され、代表者証明書を除き、すべての情報が記載された全部証明書と一部の情報のみが記載された一部証明書があります。
- 現在事項(全部・一部)証明書
- 現在効力を有する登記情報
- 履歴事項(全部・一部)証明書
- 「現在事項証明書の情報」 + 「 抹消された登記情報」
- 閉鎖事項(全部・一部)証明書
- 会社の解散等により閉鎖された登記情報
- 代表者証明書
- 代表者の代表権に関する登記情報
変更登記等によって「抹消された登記情報」は、概ね3年前(請求日の3年前の日の属する年の1月1日)から請求日までの現在効力を有しない事項について記載されます
古物商許可で必要なのは履歴事項全部証明書
古物商の法人許可において、添付書類として提出が求められているのは、申請を行う法人に関する「履歴事項全部証明書」です。
確認すべき記載情報
履歴事項証明書に記載されている情報は次の通りです。
これらの情報は、定款や古物商許可申請書等の内容と一致している必要があります。
- 会社法人番号
- 商号
- 本店(所在地)
- 会社成立の年月日
- 目的(事業の目的)
- 役員に関する事項 など
役員に関する情報に相違はないか
登記事項証明書に記載されている役員の情報が現状と相違ないか(申請書等の内容と一致しているか)を確認してください。
また、代表取締役など代表者については住所も記載されていますので、住民票等と一致しているかも確認しましょう。
役員の情報に相違がある場合、その申請は受理されない可能性があります。
その場合は、役員変更登記を行い、その完了を待ってから再度古物商許可申請を行うことになります。
登記申請から登記完了までは、法務局や申請時期により左右されますが、概ね1週間~2週間程度とみておくとよいでしょう(東京法務局各庁別登記完了予定日:法務局)
事業目的に「古物営業」に関する記載がない
定款の目的に「古物営業法に基づく古物商」というような記載がない場合でも、各都道府県公安委員会によって対応は異なりますが、そのまま申請を受け付けてもらえることがあります。
また、目的の追加を求められた場合でも、直ちに定款変更を行う旨の「確認書」を添付して申請を受理してもらうという方法があります。
ただし、仮に「古物営業を行う旨」の記載のないまま許可が取得できたとしても、そのまま放置をしていれば「目的外行為」の問題が生じることになりますので、速やかに変更登記(目的の追加)を行うことをお勧めします。
取締役会設置会社において定款の変更をするには、株主総会の特別決議が必要です(会社法第466条)
登記の申請期限と怠った場合の罰則
役員や定款等に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更登記の申請を行わなければなりません。(会社法第915条)
登記事項に変更が生じたにもかかわらず登記を怠った場合、代表者に対し100万円以下の過料に科される可能性があります。(会社法第976条)
登記の依頼は行政書士ではなく司法書士へ
登記手続の代理業務は、行政書士法第1条の2第2項及び司法書士法第3条第1項第2号により、司法書士の独占業務となっているため、行政書士はこれを受けることができません。
一方、古物商許可申請に必要な書類の作成や手続きの代理業務については、司法書士はこれを受けることができません。
これは、行政書士法第1条の2第1項において独占業務とされているためです。
登記事項証明書の請求方法と手数料
不動産及び商業・法人登記における登記事項証明書の交付請求の方法とその手数料は、次の通りとなります。
請求方法 | 手数料 |
---|---|
登記所等に出向き窓口で請求する方法 | 600円 |
オンラインで請求し郵送で受け取る方法 | 500円 |
オンラインで請求し最寄りの登記所等で受け取る方法 | 480円 |
登記事項証明書が50枚以上の場合、50枚ごとに100円加算されます
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窓口で請求する方法
- 本局にはタッチパネル式の「証明書発行請求機」が設置されているので、画面の案内に従って請求情報を入力
- 整理番号票が発行されるので受け取る
- 整理番号票に記載された手数料(登記事項証明書の窓口請求なので600円)を印紙売場で購入し、窓口に戻り呼ばれるのを待つ
- 呼ばれたら「整理番号票」と引き換えに記入済みの申請書が渡されるので収入印紙を貼付して提出
証明書発行請求機が設置されていない場合は、紙の「交付申請書」に請求情報を記入し、収入印紙を貼付した上、窓口に提出します
窓口の受付時間
窓口での業務取扱時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分までです。
なお、法務局証明サービスセンターの受付時間は、各支局・出張所とは異なり午前9時から午後5時までとなっているのでご注意ください。
オンラインで請求する方法
登記事項証明書をオンラインで交付請求するには「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」を利用して手続きを行います。
アカウントの作成が必要
登記・供託オンライン申請システムを利用するには、次の情報を入力してアカウントを作成する必要があります。
- 申請者ID
- パスワード
- 氏名
- 住所
- 職業
- 電話番号
- メールアドレス など
オンラインでも24時間受付ではない
登記・供託オンライン申請システムの利用可能時間は、平日の午前8時30分から午後9時までです。
なお、午後5時15分以降の請求は、翌業務日の午前8時30分以降の受付となります。
オンラインでの請求手順
「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」を利用して、古物商の法人許可に必要な「履歴事項全部証明書」のオンラインで申請する手順を簡単に解説します。
- サイトにアクセスし「かんたん証明書請求」ボタンをクリック
- 作成したアカウントでログイン(未作成なら「申請者IDをお持ちでない場合」)
- 「分類:商業・法人」の「登記事項証明書(商業・法人)」をクリック
- 「オンライン 会社・法人検索を使う」ボタンをクリック
- 商号・名称や会社法人等番号などで検索し選択の上「追加」「確定」ボタンをクリック
- 請求事項は「全部事項(謄本)」、証明書種類は「履歴事項証明書(閉鎖されていない登記事項の証明)」を選択し、「通数」を入力して「次へ」ボタンをクリック
- 「交付方法」と「登記所選択」を選択し「次へ」ボタンをクリック
- 交付方法を「郵送」とする場合:希望する「郵送種別」と「速達区分」を選択
- 交付方法を「窓口」とする場合:「受取場所選択」で最寄りの登記所を選択
- 請求内容を確認し「確定」ボタンをクリック
- 最後に「送信実行」ボタンをクリック
手数料の納付方法
オンラインで請求した場合の手数料の納付方法は、「郵送受取」「窓口受取」に関わらず、次の2通りとなります。
- インターネットバンキング
- 「電子納付」ボタンから納付
- 各種金融機関のインターネットバンキングにアクセスして納付
- Pay-easy(ペイジー)マークのあるATMから納付
インターネットバンキング
申請情報の送信完了後に「処理状況を確認する」ボタンをクリックすると、以下の画面が表示されます。
「電子納付」ボタンから納付する場合
- 上記画面右上の「電子納付」ボタンをクリック
- 金融機関一覧が表示されるので利用する金融機関を選択
- 金融機関のインターネットバンキングのログイン画面が表示されるのでログイン
- 払込内容が表示されるので確認の上、払い込み
各種金融機関のインターネットバンキングにアクセスして納付する場合
- 各種金融機関のインターネットバンキングのウェブサイトからログイン
- インターネットバンキングのメニューの中から「税金・各種料金の払込み」を選択
- 上記画面のオレンジの枠内にある「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」と「暗証番号(金融機関発行するネットバンキング用のもの)」を入力して払い込み
インターネットバンキングを利用して納付を行うときは、各種金融機関において事前に手続が必要な場合があります
ペイジー対応のATMから納付
Pay-easy(ペイジー)に対応したATMとは、主に銀行や郵便局に設置されているものを指します。
納付の方法は、「インターネットバンキングにアクセスして納付」の場合と同様に、ATMのメニューから「税金・各種料金の払込み」を選択し、上記画面のオレンジの枠内にある「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」を入力して払い込みます。
コンビニに設置されているATMは、ペイジーに対応していません
添付書類としての有効期間
古物商許可申請の添付書類として用いる登記事項証明書は、住民票の写しや身分証明書と同様に、発行から3か月以内のものでなければなりません。