古物とは?3つの定義と13のカテゴリー
はじめに
「古物って中古品のこと?」
「新品でないものは古物になるの?」
古物商許可に係る「古物」は、一般に言う「中古品」とは少し異なります。
古物については、古物営業法において3つの定義が定められ、古物営業法施行規則において13のカテゴリーに分類されます。
法律上の古物に「当たるもの」「当たらないもの」を具体例を交えて行政書士が解説します。
目次
古物とは(3つの定義)
一般的に古物とは、「使い古したもの」や「古くから伝わっているもの」などのことをいいますが、古物営業法における「古物」は、第2条第1項にて以下のように定義されています。
この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
古物営業法第2条第1項
法律上の古物:3つの定義
- 一度使用された物品
- 使用されない物品で使用のために取引されたもの
- これらいずれかの物品に幾分の手入れをしたもの
「使用」とは
「使用」とは、物品を本来の目的に従って使用することをいいます。
衣類であれば着用することであり、自動車であれば運行の用に供することであり、美術品であれば鑑賞することであり、商品券であれば商品と交換することです
「使用のために取引されたもの」とは
「使用のために取引されたもの」とは、自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたものをいいます。
お店から購入したものは新品でも「古物」になる
したがって、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未使用であったとしても「古物」に該当することになります。
例えば、家族の就職祝いのためにお店で購入したカバンは「他人の使用のために取引されたもの」に該当し、その家族に渡したか渡していないか、使用したか使用していないかに関わらず、購入した時点で法律上の古物にあたります
「幾分の手入れ」とは
「幾分の手入れ」とは、物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で修理等を行うことをいいます
絵画であれば表面を補修することであり、刀であれば研ぎなおすことです
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古物の13カテゴリー(分類基準と具体例)
さらに古物は、古物営業法施行規則第2条において13のカテゴリー(品目)に分類されています。「法律上の古物」にあたるこれらの物品を、法の定義する「古物商の営業」にあたる方法で取引する場合には、古物商の許可が必要となります。
それでは、各カテゴリーの分類の基準と具体例を見ていきましょう。
01. 美術品類
分類の基準
美術的価値を有する物品
具体例
- 絵画、書画、彫刻、工芸品、登録刀剣、登録火縄銃など
02. 衣類
分類の基準
繊維製品、革製品等であって身にまとうもの
具体例
- 和服類、洋服類、帽子、布団、敷物類など
03. 時計・宝飾品類
分類の基準
主として時計としての機能を有する物品、眼鏡、宝石、貴金属その他そのものが外見的に有する美的特徴や希少性によって嗜好され、使用される飾りもの
具体例
- 時計、眼鏡(サングラスを含む)、コンタクトレンズ、宝石類、装身具類、貴金属類など
04. 自動車
分類の基準
自動車及び自動車の一部として使用される物品
具体例
- 自動車本体、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラーなど
05. 自動二輪車及び原動付自転車
分類の基準
自動二輪車、原動付自転車及びこれらの一部品として使用される物品
具体例
- バイク・スクーター本体、タイヤ、サイドミラーなど
自動二輪車や原動付自転車のヘルメットは、消費生活用製品安全法における特定製品に該当し「PSCマーク」の表示のないものは、販売することができません。
06. 自転車類
分類の基準
自転車及び自転車の一部品として使用される物品
具体例
- 自転車本体、かご、サドル、サイドミラーなど
07. 写真機類
分類の基準
プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光機器等
具体例
- カメラ、デジタルカメラ、望遠鏡、双眼鏡、レンズ、光学器など
08. 事務機器
分類の基準
主として計算、記録、連絡等の事務に用いるために使用される機械及び器具(人力、電力による駆動かを問わない)
具体例
- パソコン、コピー機、ファックス、シュレッダー、電子計算機、レジスターなど
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09. 機械工具類
分類の基準
生産、作業、修理のために使用される機械及び器具のうち、上記03~08に該当しない物品
具体例
- スマートフォン、タブレット端末、工作・土木機械、化学機械、医療機器、工具、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機、20t未満の船舶(ジェットスキーを含む)
10. 道具類
分類の基準
他の分類に該当しない物品
具体例
- 家具、楽器、運動用具、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイディスク、玩具類、日用雑貨、トレーディングカード、組立式プレハブなど
11. 皮革・ゴム製品類
具体例
- カバン、靴、財布、毛皮、レザー製品など
12. 書籍
具体例
- 文庫本、雑誌など
13. 金券類
具体例
- 商品券、乗車券、郵便切手、航空券、興行場等の入場券、収入印紙、タクシー券など
金券類補足
商品券とは
- 百貨店の商品券、ビール券、図書券、文具券、お米券など
乗車券とは
- 普通乗車券、特急券、指定座席券、回数乗車券など
興行場とは
- 映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は見世物を公衆に見せ、又は聞かせる場所をいいます
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自分で使っていたものを売るのに許可がいるか
例えば、ギターを始めたくて楽器屋で購入したものの1か月くらいで飽きてしまった場合、それを売却するには許可が必要なのでしょうか。確かにそのギターは法律上の古物にあたりますが、自分で使用するために購入したものを売却する場合、許可は必要ありません。
しかしながら、転売する目的で購入しているのであれば許可が必要であるとされています。
自分のものを売却する場合の許可の要否は、購入時に転売の意思があったかどうかによります
古物に該当しないもの
最後に、大型機械類などは盗品として売買される可能性が低いため、法の規制から除外されています(古物営業法第2条第1項かっこ書)
古物にあたらないもの5つ
- 20t 以上船舶
- 航空機
- 鉄道車両
- 1t 以上の土地等に固定して使用される機械
- 5t 以上の機械で自走及び牽引できるもの以外のもの
20t 以上の船舶
その他にも、「端舟その他ろかいのみにより運転し又は主としてろかいにより運転する舟」も古物から除外されます。なお、総トン数20t 未満であれば「機械工具類」の古物に該当します。
端舟(たんしゅう)とは、法律上、航行推進力として機関や帆を使用しない舟のことをいいます
航空機
航空機には、固定翼の航空機、回転翼の航空機(ヘリコプター)滑空機(グライダー)などが含まれ、これらは古物には該当しません。
鉄道車両
鉄道車両とは、客車、貨車、機関車等をいいます。
なお、索道(ロープウェイ等)の車両は含まれません。
1t 以上の土地等に固定して使用される機械
④に該当する機械であるためには、以下の3要件を同時に満たすものでなければなりません。
- 「 コンクリートによる埋め込み、溶接、アンカーボルトによる溶接」又は「これらと同等以上の強度を有する接合方法」により土地又は建造物に固定して用いられるものであること
- 「容易に取り外せない状態」で土地又は建造物に固定して用いられるものであること
- 重量が1t を超えるものであること
5t 以上の機械で自走及び牽引できるもの「以外」のもの
「自走」とは、人力、電動その他の動力の種類を問わず、その場所を移動できる構造又は装置を有するもの(油圧ショベルなど)をいいます。
「牽引」とは、車輪や牽引のためのフック等の装置を有していることをいいます。