古物商許可 - 管理者の役割と選任時の注意点

書類に目を通す管理者

はじめに

「管理者って何をすればいいの?」

「管理者って誰でもなれるの?」

古物商許可申請において、必ず選任することを求められる「管理者」とは、一体どのような役職なのでしょうか。

古物営業法が規定する「管理者」の職務、要件、さらには、そのまつわる制度について、行政書士が解説します。

古物商とは?古物商許可が必要な7つの取引パターン

法の規定する「古物」「古物商」の定義から見えてくる「許可が必要なケース」を、行政書士がわかりやすく解説します。

管理者とは(管理者の職務)

管理者は、古物営業法(以下、「法」といいます。)第13条第1項において「営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者」と規定されています。

したがって、管理者は、営業所における業務を統括管理して従業者等を指揮監督し、古物営業関係法令を遵守させて当該営業所における業務を適正に実施させ得るものでなくてなりません。

管理者の職務

  • 営業所における業務の統括管理
  • 従業員の指揮監督
  • 古物営業関係法令の遵守

管理者とは、簡単にいうと店長やマネージャーのような「現場責任者」のことです

一営業所・一管理者の原則

(いちえいぎょうしょ・いちかんりしゃのげんそく)

(管理者)
第十三条 古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。

古物営業法第13条第1項

古物商許可を申請する際において、古物商は、営業所ごとに管理者一人を選任することが義務付けれています。

「営業所ごとに」ですから、営業所が複数ある場合は、原則、その営業所の数だけ管理者が必要ということになります。

例外:管理者の兼任

複数の営業所が近接しており、双方の営業所を実質的に統括管理することができ、管理者の業務を適正に行い得る場合は、同一人が当該複数の営業所の管理者を兼任することができます。

なお、古物商が自ら営業所における業務の実施を実質的に統括管理することができる場合は、古物商が自らを管理者として選任することも許容されます

営業所の常勤であること

また、管理者は「営業所に係る業務を適正に実施するため」それぞれの営業所に常勤するものと解されています。

ですから、例えば、大阪の自宅から都内の営業所に通うなどという場合には、その常勤性に疑義が生じ、管理者としての選任が認められる可能性は低いといえます。

通勤時間は、「片道1時間半から2時間程度まで」と考えておくとよいでしょう。

古物商の営業所について押さえておきたい8つのこと

営業所として認められる基準や営業所において行わなければならないこと、移転や新設手続の概要などについて行政書士が解説します。

管理者となれない者

それでは、営業所に常勤していれば、誰でも管理者になれるのかというとそうではありません。

いくつかの人的欠格事由が定められていて、その内容は、古物商等の欠格事由(法第4条)とほぼ同じです。

以下の事由に一つでも該当すれば、管理者となることはできません。

管理者の人的欠格事由

古物営業法第13条第2項

  • 未成年者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • (罪種を問わず)禁固刑や懲役刑に処せられ、又は無許可古物営業や名義貸しのほか窃盗、背任、遺失物横領、盗品譲受け等で罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなってから5年を経過しない者
  • 暴力団員
  • 暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
  • 暴力団以外の犯罪組織の構成員で、強い「ぐ犯性」が認められる者
  • 暴力団対策法第12条、第12条の4第2項及び第12条の6の命令又は指示を受けたものであって、受けてから3年を経過しない者
  • 住居の定まらない者
  • 古物営業法第24条の規定により古物営業の許可を取り消された者
  • 心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

「ぐ犯性」とは、将来、罪を犯しまたは刑罰法令に触れる行為をするおそれがあること

【即日着手】古物商許可申請はヘイワード行政書士事務所におまかせ
https://hayward-law.com/kobutsusho
申請書の作成から添付書類の収集まで専門家である行政書士に丸投げOK!許可取得後も3か月間無料相談で安心

管理者に求められる知識・技術・経験

 古物商又は古物市場主は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない。

古物営業法第13条

古物商は、管理者に対し、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要とされる一定の知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならないとされています。

努力義務規定ですので、怠ったからといって直ちに法令違反となるというわけではありませんが、知識不足がゆえ盗品等を取り扱ってしまえば、それが原因で「公安委員会による指示(法第23条)」、ひいては「営業停止(法第24条)」等の行政処分を課される可能性もあります。

自動車・自動二輪車・原動機付自転車についての知識等

古いシルバーのスクーター

(管理者に得させる知識等)
第十四条 法第十三条第三項の国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験は、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う営業所又は古物市場の管理者については、不正品の疑いがある自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の車体、車台番号打刻部分等における改造等の有無並びに改造等がある場合にはその態様及び程度を判定するために必要とされる知識、技術又は経験であって、当該知識、技術又は経験を必要とする古物営業の業務に三年以上従事した者が通常有し、一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとする。

古物営業法施行規則

さらに「自動車・自動二輪車・原動機付自転車を取り扱う営業所の管理者」については、古物営業法施行規則(以下、「規則」といいます。」において、自動車等の不正品や改造に関する知識等の習得に関して規定されています。

当該知識等を必要とする古物営業の業務に3年以上従事した者が通常有する知識等

必ずしも実際に3年間「自動車等」の古物営業に従事しなければ得ることができない知識等までは求められません。

少なくとも客観的にそれと同程度と認められるもので足りるとされています。

したがって、3年より短い期間で知識等を習得するためには、通常の場合よりも積極的に自動車等の古物営業に従事すること等が必要とされています。

3年より短い期間での知識等の習得例

  • 先任者から不正品を見分けるための知識・技術の教示や指導を受ける
  • 短期間により多数の中古自動車を取り扱うことにより経験を重ねる 等
古物とは?3つの定義と13のカテゴリー

古物商許可に係る「古物」は、一般に言う「中古品」とは異なります。法律上の古物の3つ定義と13の区分を解説します。

「管理者の解任勧告」制度

 公安委員会は、管理者がその職務に関し法令の規定に違反した場合において、その情状により管理者として不適当であると認めたときは、古物商又は古物市場主に対し、当該管理者の解任を勧告することができる。

古物営業法第13条

要件

法第13条第4項に規定される「管理者の解任勧告」は、古物商が管理者に対して行うものではなく公安委員会が古物商に対して行うものです。

「その職務」とは

「その職務」とは、法第13条第1項に規定する職務をいいます。

「法令の規定に違反した場合」とは

「法令の規定に違反した場合」とは、古物営業関係法令違反に限られず、質屋営業法や刑法等の他の法令に違反した場合もこれに含まれます。

なお、違反行為が管理者の「職務」に関してなされたもの、つまり、営業所における古物の取り引きに際してなされたもの等である場合に限られます

「その情状により管理者として不適当であると認めたとき」とは

「その情状により管理者として不適当であると認めたとき」とは、違反行為の内容、違反の程度等に鑑み、その者を継続的に管理者として選任しておいた場合には、営業所における業務の適正な実施が到底期待しえない情状があると認めたときをいうとされています。

管理者の変更届出

古物営業法第7条
 古物商又は古物市場主は、第五条第一項各号(第二号を除く。)に掲げる事項に変更があつたときは、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。

古物営業法

古物営業法施行規則第5条
 法第七条第二項の規定により公安委員会に届出書を提出する場合(同条第三項の規定により同条第二項の規定による届出書の提出を経由して行う場合を含む。)においては、その営業所又は古物市場(二以上の営業所又は二以上の古物市場を有する者にあっては、当該営業所又は古物市場のうちいずれか一の営業所又は古物市場)の所在地の所轄警察署長を経由して、当該変更の日から十四日(当該届出書に登記事項証明書を添付すべき場合にあっては、二十日)以内に、一通の届出書を提出しなければならない。

古物営業法施行規則

古物商は、管理者を解任、管理者が辞任または管理者が欠格事由に該当することとなった場合は、直ちに新たな管理者を選任しなければなりません。

この場合、法第7条第2項及び規則第5条第6項に基づき、営業所の所在地の所轄警察署に、14日以内に「変更届出書」を提出する必要があります。

営業所が2つ以上ある場合は、そのいずれかの所在地の管轄警察署に届け出れば足りるとされています(規則第5条第6項かっこ書)

添付書類

管理者を変更したときは、「変更届出書」のほかに、変更後の管理者に係る以下の書類が必要となります。

  • 直近5年間の略歴を記載した書面
  • 住民票の写し(戸籍表示、国籍等を記載したもの)
  • 身分証明書
  • 欠格事由に該当しない旨を記載した誓約書

別の営業所に異動する場合

例えば、人事異動でA営業所の管理者をB営業所の管理者とする場合、変更届出書に上記の書類を添付する必要はありません

これは、既にA営業所の管理者になる段階で必要な添付書類が提出されているので、改めて添付書類を提出しなくてもよいとされているためです。(規則第5条第8項)

変更届出や書換申請が必要になるケースとその手続 - 古物商

変更届出(事前・事後)や書換申請が必要になるケースとその届出期限や必要書類など手続について行政書士が解説します。

古物商許可 ネットで簡単 丸投げOK - ヘイワード行政書士事務所