古物商とは?許可が必要な7つの取引と不要な5つの取引

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はじめに

「古物商って何?」

「中古品の売買には許可が要るって本当?」

このような疑問を持つ方も多いかもしれません。古物(中古品)の取引については「古物営業法」に規定されていますが、すべての取引に許可が必要というわけではありません

本記事では、古物商の定義から許可が必要なケース、不要なケースについて、行政書士がわかりやすく解説します。これを読めば、古物商や古物営業、古物商許可の必要性について理解が深まるでしょう。

古物商とは

古物商とは、古物営業法に規定される「古物」を、営利目的で継続的に売買等(古物営業)を行うことを、都道府県公安委員会より許可を受けた者をいいます。

許可を受けずに古物営業を行った場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があります。自身が行おうとしている営業をよく確認し、古物営業にあたるのであれば、必ず事前に古物商許可を取得するようにしましょう。

許可が必要な理由(古物営業法の目的)

許可が必要な理由は、古物営業法の目的にあります。その主な目的は「盗品等の売買の防止」と「速やかな発見」を図ることです。

そのため、古物の売買等について許可制とし、窃盗犯が盗んだ品物を古物として処分することを防ぎ、もし盗品が市場に出回ってしまった場合に警察が迅速に発見できるように、相手方の本人確認など必要な義務や規制が課せられています。

古物商の本人確認義務とは?対面取引における4つの確認方法

古物商は、古物の買取等を行う際に、相手方の本人確認をしなければなりません。本人確認が必要な古物や、対面取引での本人確認方法について、行政書士が詳しく解説します。

古物とは

古物とは、いわゆる中古品を指しますが、古物営業法においては、「一度使用された物品」「使用されない物品で使用のために取引されたもの」「これらいずれかの物品に幾分の手入れをしたもの」と明確に定義されています。

なお、「使用されない物品で使用のために取引されたもの」とは、具体的には「新品未開封品」や「新品未使用品」などを指します。つまり、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未使用であっても「古物」に該当するということです。

また、古物は「美術品類」「衣類」「時計・宝飾品類」「自動車類」「事務機器類」など13区分に分類され、許可申請の際には、自身が取り扱う物品の区分を届け出る必要があります。

POINT - 古物の3つの定義

  • 一度使用された物品
  • 使用されない物品で使用のために取引されたもの
  • これらいずれかの物品に幾分の手入れをしたもの
古物とは?3つの定義と13のカテゴリー

古物商許可に係る「古物」は、一般に言う「中古品」とは異なります。法律上の古物の3つの定義と13の区分を解説します。

古物営業とは

古物営業とは、「1号営業(古物商)」「2号営業(古物市場経営)」「3号営業(古物競りあっせん業)」の3類型に分かれ、これらの総称をいいます。

古物商の営業にあたる1号営業は「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」と定義されています。これに該当する営業を行う場合、都道府県公安委員会の許可が必要になります。

なお、「古物を売却することのみを行うこと」や「自己が売却した物品を売却した相手方から直接買い戻すこと」は、古物営業には当たりません。

POINT - 1号営業の定義

  • 古物を売買または交換をする営業(委託を受けて行う場合も含む)
    • 古物を売却することのみを行うものはあたらない
    • 「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けること」を行うものはあたらない
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古物商許可が必要なケース

さて、基本的な用語の整理ができたところで、古物商の許可が必要となるケースを見ていきましょう。古物営業法に定められる「古物」「古物営業」の定義から読み解いていくと、古物商許可が必要となる取引は7つのパターンに分けることができます。

古物商許可が必要となる7つの取引パターン

  1. 古物を買い取って売る
  2. 古物を買い取って修理して売る
  3. 古物を買い取って部分的に売る
  4. 古物を買い取らず、売った後に手数料をもらう(委託売買)
  5. 古物を別のものと交換する
  6. 古物を買い取ってレンタルする
  7. 国内で買い取った古物を国外で売る(輸出)

1. 古物を買い取って売る

これは、最も典型的なケースになりますが、ポイントは「買う」と「売る」の2つの行為がなされていることです。

したがって、無償で引き取った古物を販売する場合や、買い取った古物を自分で使用する場合などは、法の規制の対象から除外されるため、古物商許可は不要です。

2. 古物を買い取って修理して売る

修理(条文上は「幾分の手入れ」といいます)とは、「物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で修理等を行うこと」をいいます。

例えば、絵画については表面を補修すること、刀については研ぎ直すことです。もう少し身近な例でいえば、リサイクルショップが買い取った中古冷蔵庫をクリーニングや修理をして販売する場合が、これにあたります。

3. 古物を買い取って部分的に売る

ジャンクPCや中古車を買い取り、使用可能な部品を抜き取り(いわゆる「部品取り」)、それを販売する場合です。

自分のために部品取りをし、それを売らずに保管・使用するのであれば、古物商の許可は不要です。

使用済自動車から再利用部品などの取り外しを行うためには、個人で行う場合においても都道府県知事等から「解体業の許可」が必要です。│使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法

4. 古物を買い取らず、売った後に手数料をもらう

これは、古物を販売するよう依頼を受けて、売れた場合に手数料をもらう、いわゆる委託売買のケースです。これまでのケースからみると、古物の「買い取り」は行われていませんので、許可は不要なようにも思えます。

しかし、古物営業法の目的から鑑みると、もし、窃盗犯から盗品の販売委託を受けそれが売れた場合、窃盗犯に利益が渡ってしまうため、その防止の観点から法の規制が及ぶこととなっています。

5. 古物を別のものと交換する

古物を引き取って他の物品と交換する場合がこれにあたります。なお、交換の対象物は、古物であるか新品であるかを問いません

また、例えば、エアコンを下取りして、査定価格に応じた「クーポン券」の発行や買い物で使える「ポイント」を付与する場合もこれにあたります。

6. 古物を買い取ってレンタルする

中古自動車を買い取ってレンタカーに、中古自転車を買い取ってレンタサイクルシェアサイクルに使用する場合などです。

一方で、製造・販売メーカーから直に新品を購入してレンタルする場合は、もちろん許可は必要ありません

レンタカー事業を行うには、道路運送法に基づく「自家用自動車有償貸渡業の許可」を取得する必要があります。

自転車転売には古物商許可必須!申請ポイントと買取時の注意点

中古自転車の売買には古物商許可が必要です。行商、URL届出、防犯登録、本人確認など許可申請のポイントや買取時の注意点を行政書士が解説します。

7. 国内で買い取った古物を国外で売る(輸出)

日本で使用されていた中古品は保存状態が良い物が多く「Used in Japan」などと呼ばれて人気がありますが、日本国内で中古品を買い取って海外で販売する場合、古物商許可が必要です。

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古物商許可が「不要」なケース

今度は、古物商許可が不要になるケースを見ていきましょう。古物商許可が不要になる取引は、5つのパターンに分けることができます。

古物商許可が「不要」な5つの取引パターン

  • 自分のものを売る
  • 無償でもらったものを売る
  • 相手から手数料をとって回収したものを売る
  • 自分が売った相手から売ったものを買い戻す
  • 自分が海外で買ってきたものを日本国内で売る

※ お酒や化粧品など消費してなくなるものを取引する場合も許可は不要です。

1. 自分のものを売る

自分で使用していた物や、使用するつもりで購入したが未使用の物を売る場合、古物商許可は必要ありません。これは、自己使用のためであり、転売目的で購入していないため、古物営業にあたらないからです。

自己使用にあたるかどうかは、取引している物品や頻度などから客観的に判断されます。

2. 無償でもらったものを売る

窃盗犯が盗品を何ら利益もなく、無償で処分する可能性は低いため、無償でもらったものを売る場合は、古物商許可は不要です。なお、「無償」ですので、仮に1円でも支払った場合は、これに該当しません。

3. 相手から手数料をとって回収したものを売る

「無償でもらったものを売る」場合と同様、窃盗犯が無償どころか手数料を払ってまで盗品を処分することは考えられないため、古物商許可は不要とされています。

4. 自分が売った相手から売ったものを買い戻す

自分が売却した物品を、その売却した相手方から直接買い戻す場合、盗品等が混入するおそれがないため、古物商許可は不要です。

なお、自分が売った相手が、さらに第三者に転売したものをその第三者から買い戻す場合は、これに該当せず、許可が必要になります。

5. 自分が海外で買ってきたものを日本国内で売る(輸入)

日本国内で中古品を買い取って海外で販売(輸出)する場合は古物商許可が必要ですが、一方で輸入する場合は不要です。

これは、古物営業法は「日本国内に流通している古物に関する法律なので、海外で流通している古物については適用されないため」です。

輸入品であっても、他の輸入業者が輸入した古物を国内で買い取って販売する場合は、許可が必要になるので注意してください。

古物商許可が必要なら行政書士に頼むと簡単

以上、古物商許可が必要なケースと不要なケースについて解説しました。無許可営業には罰則がありますので、該当する場合は、事前に古物商許可を取得するようにしましょう。

古物商の許可申請は、申請書のほか、住民票などの添付書類を揃えて、管轄警察署を経由して都道府県公安委員会に提出し、審査を受ける必要があります。

自分で行う場合、手続きが複雑で時間がかかることがあります。そこで、専門の行政書士に依頼することで、スムーズに許可を取得することができます。行政書士は、必要な書類の準備や提出、手続きの進行をサポートしてくれるため、手間を省くことができます。

行政書士に依頼するメリット

  • 専門知識:専門の行政書士なら古物営業法に精通しているため、適切なアドバイスが受けられます。
  • 時間の節約:自分で手続きを行うよりも迅速に進めることができます。
  • 安心感:書類の不備や手続きのミスを防ぐことができます。

古物商許可が必要な場合は、ぜひ行政書士に相談してみてください。

行政書士に申請代行を依頼する3つのメリットと費用の相場 - 古物商

古物商の許可申請を行政書士に依頼した場合の3つのメリットを具体的事案から考察し、その費用の相場について行政書士が解説します。

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Q&A

メルカリに中古品を出品する場合も古物商許可は必要ですか?

メルカリなどのフリマアプリを利用して、営利目的で中古品の取引を行う場合も、古物商許可が必要になります。また、この場合、そのメルカリのURLを「URLを使用する権限を疎明する資料」とともに届け出る必要があります。

フリマアプリでの販売に古物商許可は必要?取得のメリットと注意点を解説

フリマアプリで中古品を出品する前に、古物商許可が必要かどうかを確認しましょう。違反すれば罰則も。許可取得のメリットや注意点、取得方法を解説します。

店頭に並んで購入した限定商品を転売するのに古物商許可は必要ですか?

この場合、小売店から直接「新品」を購入しているので、古物商許可は不要です。ただし、一度消費者の手に渡った物品は「古物」になります。そのため、たとえ未使用未開封であっても、このお店から限定商品を購入した人から転売目的で購入する場合、古物商許可が必要です。

古いエアコンを下取りするのに古物商許可は必要ですか?

下取りするエアコンの状態や市場価値に応じて買取価格を変動させる場合は、古物商許可が必要です。一方で、以下のように、下取りする古物の個別の市場価値を考慮せず、顧客サービスの一環として一律の値引きを行っている場合は、「サービス」としての値引きとみなされ、古物営業に当たらないとされています。

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古物商許可が必要な下取りと不要な下取りの条件について解説

査定が伴う下取りには古物商許可が必要です。一方、サービスとしての値引きにあたる場合は不要です。その違いと具体的な条件について行政書士が解説。

古物商の許可証には有効期限がありますか?

古物商の許可には有効期限はありません。当然、更新手続もありませんので、一度取得すれば一生効力を有します。なお、許可を受けてから6か月以内に営業を開始せず、又は、引き続き6か月以上営業を休止し現在も営業していない場合は、許可を取り消されてしまう可能性がありますのでご注意ください。

古物商には誰でもなれますか?

以下のいずれかに該当する方は、古物商の許可を受けることができません。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない方
  • 禁錮刑以上に処せられ、又は一定の犯罪※により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して5年を経過しない方
  • 暴力団員又はその関係者
  • 住居の定まらない方
  • 古物営業の許可を取り消されてから5年を経過してない方
  • 心身の故障により古物商の業務を適正に実施することができない方
  • 未成年者
古物商許可を受けられない8つの理由 - 欠格事由

古物商許可取得には法令で定められた「欠格事由」の確認が必須です。破産、犯罪、暴力団関係等、8つのNG条件を分かりやすく解説!

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