聴聞とは?営業停止や許可取消の前に知っておくべきこと7選
はじめに
営業停止や許可取消といった行政処分を受ける可能性がある場合、「聴聞(ちょうもん)」という手続きが行われることをご存知でしょうか?聴聞とは、行政庁(行政機関)が重大な不利益処分を行う前に、対象者に意見を述べる機会を与える共通の手続きです。
本記事では、万が一の事態に備え、聴聞について押さえておくべき基礎知識について、行政書士が解説します。
目次
1. 聴聞とは
聴聞とは行政機関が処分を行う前に、相手方や関係人に意見を述べる機会を与える手続きです。行政手続法で定められており、許認可等の取消しなど重大な不利益処分を受ける可能性がある場合に行われます。
これは、処分という公権力の行使に先立って、防御の機会を与え、国民の権利利益を保護するものです。
古物商においては、営業停止命令や許可取消し処分の際には「聴聞」、指示処分の際にはより簡易な「弁明の機会」が付与されます。
2. 書面で通知される
聴聞を行うとなった場合、予定されている不利益処分やその原因となる事実、聴聞の期日など、以下の事項が記載された聴聞通知書によって通知されます。
- 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
- 不利益処分の原因となる事実
- 聴聞の期日及び場所
- 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
なお、処分対象者の所在が不明の場合は、行政機関の掲示場に、氏名と上記事項に加え、聴聞通知書をいつでも交付する旨などが記載された書面が掲示されます。
その掲示から2週間経過したときは、聴聞の通知が到達したものとみなされ、不利益処分の手続きが進められることとなります。(公示送達)
古物商の所在が不明な場合
都道府県公安委員会は、古物商の営業所や古物商(法人の場合は、その役員)の所在が確知できない場合、その事実を公告してから30日以内に申し出がないときは、聴聞手続きを経ることなく古物商許可を取り消すことができます(簡易取消し)。古物商の住所変更などの変更届出義務は、確実に履行するようにしましょう。
3. 代理人を選任することができる
処分対象者等は、聴聞に関する一切の行為をすることができる代理人を選任することができます。代理人の資格に制限はないため、家族や友人でも構いませんが、聴聞手続きや予定されている処分に関する法令について精通している弁護士や行政書士などの有資格者を選任した方が得策といえるでしょう。
古物商の申請代行(代理)を行政書士に依頼する場合、委任状の書式に決まりはありませんが、聴聞の代理人については、所定の代理人資格証明書により行う必要があります。
4. 文書等の閲覧ができる
処分対象者等は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政機関に対し、以下の文書等の閲覧を求めることができます。なお、行政機関は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧要求を拒むことができません。
- 当該事案についてした調査の結果に係る調書
- その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料
文書等の閲覧の要求は、所定の文書閲覧請求書を行政機関に提出する必要があります。ただし、聴聞の審理中に、その進行に応じて必要となった場合は、口頭で求めれば足ります。
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5. 審理は口頭で行われる
聴聞は、口頭審理主義を採っています。したがって、処分対象者等は、聴聞の期日に出頭し意見を述べることができます。また、証拠書類等を提出したり、処分を予定している行政機関の職員に質問することもできます。
ただし、行政機関の職員への質問は、質問権が濫用され審理の円滑な進行が妨げられるおそれがあることを考慮し、主宰者の許可があった場合に限られます。
主宰者とは、行政機関と処分対象者等の意見を聞いて、不利益処分が適法かどうかを判断する裁判官のような役割を担う者です。主宰者は、行政機関が指名する職員または政令で定める者が担当します。
主宰者は、利害関係を有するものと認められる者に対して、聴聞に参加することを求めることができます。
6. 補佐人を付けられる
主宰者の許可を得れば、補佐人を付けて聴聞の期日に臨むことができます。補佐人とは、文字通り補佐をする人ですが、例えば、外国人であれば通訳、聴覚障害がある方であれば手話通訳などがあたります。また、不利益処分の原因となる事実について知見を持ち、アドバイスなどができる専門家も補佐人として同行できます。
なお、補佐人は必ずしも資格を持つ必要はなく、聴聞を受ける者が補佐を必要とする理由が認められれば、主宰者の許可を得て同行が認められます。
7. 出頭できない場合
聴聞の期日に出頭できない場合は、出頭に代えて陳述書を提出することができます。また、その陳述書に証拠書類等を添付することもできます。
なお、陳述書等も提出せず、正当な理由なく聴聞の期日に出頭しない場合は、改めて意見を述べる機会を与えることなく聴聞が終結し、予定されている不利益処分が確定することになります。
まとめ
聴聞に関する基礎知識を、処分対象者の視点から解説しました。
裁判には民事訴訟法や刑事訴訟法に基づくルールが存在するのと同様に、このように聴聞にも審理が円滑に進むよう一定のルールが設けられています。聴聞について規定している行政手続法には、このほかにも、審理の方式や主宰者の義務など、さまざまなルールが定められています。
万が一、聴聞に出頭しなければならない事態に陥ったときは、自身の権利を守るためにも、この記事を再度確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
Q & A
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聴聞は必ず受けなければいけないのですか?
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いいえ、聴聞への出頭は義務ではありません。ただし、正当な理由なく出頭しない場合、不利益処分が確定します。どうしても出頭できない場合は、代理人を選任するか、陳述書等を提出することをお勧めします。
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聴聞の期日を変更してもらうことはできますか?
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はい、可能です。聴聞の期日や場所の変更を希望する場合は、変更を求めるやむを得ない理由を記載した所定の変更申出書を行政機関に提出する必要があります。
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聴聞の審理は公開されますか?
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裁判は憲法第82条により原則公開ですが、聴聞は当事者のプライバシーが侵害されるおそれなどを考慮し、非公開が原則です。
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聴聞の結果に不服がある場合は、どうすればよいですか?
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聴聞の結果に不服がある場合は、下された不利益処分に対して、改めて審査請求や取消訴訟などの手段で救済を求めることができます。
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