人とは?物件とは?ドローンの「人または物件から30m規制」について解説
ドローンは、いつでもどこでも自由に飛ばしてよいわけではなく、航空法その他関係法令によりドローンの飛行に関する基本的なルールが定められています。
今回は、「人または物件から30m以上の距離を保てない状況での飛行」について詳しく解説していきます。
根拠条文を確認しよう
航空法
(飛行の方法)
第百三十二条の二 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない
(~略)
七 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
航空法施行規則
第二百三十六条の六 法第百三十二条の二第一項第七号の国土交通省令で定める距離は、三十メートルとする。
「人」とは
無人航空機を飛行させるものの関係者(例えば、イベントのエキストラ、競技大会の大会関係者等、無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)以外の者を指します。
つまり、通行人やイベントの観覧者など、ドローンの飛行に全く無関係の第三者ということになります。
「物件」とは
飛行させる者又は飛行させる者の関係者(例えば委託元等、法令で定める距離(30m)内に無人航空機が飛行することを了承している者)が管理する物件以外の物件を指します。
物件の具体的な例
- 中に人が存在することが想定される機器
- 自動車
- 鉄道車両
- 船舶
- 航空機
- 建設機械
- 港湾のクレーン 等
- 建築物その他の相当の大きさを有する工作物等
- ビル、住居
- 工場、倉庫
- 橋梁、高架
- 水門
- 変電所
- 鉄塔、電柱、電線
- 信号機、街灯 等
特に、電柱、電線、信号機、街灯は、日頃見慣れているものなので見落としがちです。承認を得ないで飛行させる場合は、飛行中はもちろん、飛行前にしっかり確認しておきましょう。
物件に当たらない例
- 田畑
- 舗装された土地(道路の路面等)
- 堤防
- 鉄道の線路等であって土地と一体となっているもの
- 自然物(樹木、雑草等)
30mってマンションでいうと何階?
おおよそ10階くらいの高さになります。地上での距離でいうと、バスケットコートの長辺の長さが28mになります。
なお、30mは人または物件からの直線距離となるので、概念的には人または物件から30mの球状となります。
例外:ドローンを係留した場合
十分な強度を有する紐等(30m以内)で係留した飛行で、飛行可能範囲への第三者の立入管理等の措置を行えば一部許可・承認が不要になります。
許可承認不要 | 許可承認必要 |
---|---|
DIDにおける飛行 | 空港等周辺での飛行 |
夜間飛行 | 緊急用務空域での飛行 |
目視外飛行 | 150m以上の上空での飛行 |
第三者から30m以内の飛行 | イベント上空での飛行 |
物件投下 | 危険物の輸送 |
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追加基準
人又は物件から30mの距離を保てない飛行を行う場合は、「許可等に係る基本的な基準」に加え、当該飛行に係る「追加基準」にも適合しなければなりません。
(以下概略)
原則、第三者の上空で飛行させないことを要件とし、この場合において、次に掲げる基準に適合すること。
- 機体について、プロペラガード、衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーを装着すること。
- 飛行させる者について、意図した飛行経路を維持できること。
- 第三者の上空で無人航空機を飛行させないように、次に掲げる基準に適合すること。
- 飛行経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、安全な飛行のため必要な助言を行う補助者を配置すること。
- 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。