ドローン飛行申請のポイントまとめ
ドローンの飛行許可申請を行うにあたり、「押さえておきたいポイント」をまとめました。
申請書の作成や申請前のセルフチェックなどにお役立てください。
目次
飛行経路と日時
飛行経路を特定する必要がある飛行
飛行経路を特定するとは、「丁目、字又は番地」まで特定することをいいます。(例:東京都中央区京橋三丁目)
飛行経路を特定しないとは、「日本全国」「○○県」などと「範囲」を指定することができます。
飛行経路及び日時を特定する必要がある飛行
飛行日時を特定するとは、「〇月〇日」と具体的な日付を示すことをいいます。
飛行日時を特定しないとは、〇月〇日から「3か月」「1年間」のように「期間」を指定することができます。
イベント上空における飛行の申請を行う場合は、「具体的な飛行時間」も必要となります。
飛行経路及び日時を「特定しない」飛行(包括申請)
いわゆる「包括申請」です。
飛行範囲を「日本全国」や「○○県」とし、飛行期間は最長で「1年間」とすることができます。
飛行目的
「業務」と「業務以外」
「業務」と「業務以外」を1つの申請書で申請することはできません。
両方の飛行を行う場合は、別々の申請書を作成して申請します。
また、飛行訓練のための申請は、「業務」や「趣味」等と同時に申請できません。
飛行目的が「飛行訓練」のみの申請書を作成する必要があります。
項番 | 飛行の目的 | 区分 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 空撮 | 業務 | 風景・施設の撮影、TV・映画製作、イベント撮影 等 |
2 | 報道取材 | 業務 | 報道取材 等 |
3 | 警備 | 業務 | 侵入者追跡、工場内立入者監視 等 |
4 | 農林水産業 | 業務 | 農薬散布、松くい虫防除、種まき、資料散布、育成踏査 等 |
5 | 測量 | 業務 | 工事現場での測量 等 |
6 | 環境調査 | 業務 | 放射能計測、大気汚染調査 等 |
7 | 設備メンテナンス | 業務 | プラント保守、施工計画調査、ソーラーパネル管理 等 |
8 | インフラ点検・保守 | 業務 | 道路・橋梁点検、トンネル内の点検、河川管理施設の点検、海岸保全施設の点検、港湾施設の点検 等 |
9 | 資材管理 | 業務 | プラント資材管理、資材の容積計測 等 |
10 | 輸送・宅配 | 業務 | 物資輸送、宅配 等 |
11 | 自然観測 | 業務 | 火山観測、地形変化計測、資源観測 等 |
12 | 事故・災害対応等 | 業務 | 土砂崩れ等の被害調査、山岳救助、水難者捜索、被災者捜索、火災等の原因等の調査、交通事故現場検証 等 |
13 | 趣味 | 業務外 | 競技会、スポーツ、レクリエーション、個人的な趣味の飛行 等 |
14 | その他 | 業務/業務外 |
飛行理由
飛行理由「飛行目的と同じ」とする場合
- 空港等周辺の飛行
- 地表又は水面から150m以上の高さの空域における飛行
- 人口集中地区の上空における飛行
- 人または物件から30m以上の距離を保てない状況での飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行
「夜間操縦訓練」「目視外操縦訓練」を行う場合
夜間操縦訓練、目視外操縦訓練のための申請を実施する場合、夜間、目視外については「操縦訓練のため」を選択します。
なお、飛行理由「操縦訓練のため」を選択する場合は、飛行目的は、その他「飛行訓練のため」の申請に限定されます。
「物件投下」を行う場合
物件投下を選択した場合、飛行理由は「その他」を選択し、何の目的で物を投下するのか具体的に記載しなければなりません。
「農薬散布」を行う場合
農薬散布を実施する場合は、農薬が危険物、散布が物件投下に当たるため「危険物の輸送」「物件投下」の申請が必要です。
飛行理由は「農薬散布のため」を選択します。
総飛行時間が10時間未満の場合
総飛行時間が10時間未満の場合、「業務飛行」等の申請は行うことできません。
航空法上の許可承認が不要な場所(屋内等)にて、10時間以上の飛行訓練を実施した後に申請するか、「飛行訓練のための申請」をすることになります。
総飛行時間 = 夜間飛行時間 + 目視外飛行時間 + 通常飛行時間
総飛行時間が10時間未満でも認められた例
飛行経歴が10時間未満の者が「飛行訓練のため」の申請をする場合、「少なくとも10時間以上の飛行経歴を有し、飛行の方法に応じて必要な能力を有した者」の下で飛行を行うこと等が、許可・承認の条件となります。
事例 1:飛行経歴4時間
四方がネットで囲まれている敷地において第三者の立入が制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。
事例 2:飛行経歴2時間
飛行させる者が管理する敷地内において第三者の立入りが制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。
事例 3:飛行経歴1時間
補助者を配置して注意喚起することにより、飛行範囲内に第三者が立ち入らないようにし、機体をロープで係留し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。
DIPSで申請する場合
上記事例を参考に「代替的安全対策等」として具体的に記入する必要があります。
「夜間飛行」「目視外飛行」「物件投下」の実績がない場合
「夜間飛行」「目視外飛行」は概ね1時間の飛行経歴、「物件投下」は5回以上の実績が必要とされています。
DIPSで申請する場合
上記飛行実績が不足している場合、以下のいずれかの代替的安全対策を講じる必要があります。
- 飛行マニュアルに基づいた訓練を屋内又は訓練のために許可等を受けた場所にて実施した後に業務のための飛行を行う。
- 訓練のための飛行であり、無人航空機を飛行させる者又はその関係者の管理下にあって第三者が立ち入らないよう措置された場所において行う。
- その他(航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれることがない代替的な安全対策を具体的に記載)
申請先
飛行場所/飛行方法 | 提出先 |
---|---|
・空港等周辺の空域 ・地上等から150m以上の空域 | ・東京空港事務所長 (飛行場所が新潟県、長野県、静岡県以東の場合) ・関西空港事務所長 (飛行場所が富山県、岐阜県、愛知県以西の場合) |
・上記以外 | ・東京航空局長(同上) ・大阪航空局長(同上) |
「上記以外」の場合で、飛行場所が両局に跨る場合、例えば「包括申請」で飛行範囲を「日本全国」とした場合などは、申請者の住所を管轄する地方航空局に申請します。
空港周辺空域で夜間飛行を行う場合などは、同一の申請書を「空港事務所」と「地方航空局」のどちらにも申請する必要があります。申請書複製機能で複製した申請書の提出先を変更し、それぞれに提出します。
その他 Q&A
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「操縦者甲」は「機体A」、「操縦者乙」は「機体B」を操縦する場合、一つの申請でできる?
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いいえ。操縦者ごとに飛行させる無人航空機が異なるDIPSの許可書は発行できません。操縦者ごとにそれぞれ申請書を作成する必要があります。
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飛行許可が下りるまでどれくらい日数がかかる?
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「不備等がない申請書」で10開庁日(土日祝日除く)とされています。申請に不備があった場合、審査作業に相応の時間がかかるおそれがあるので、余裕をもって申請しましょう。