イベント上空でドローンを飛行させるには…求められる安全確保の体制

ドローンは、いつでもどこでも自由な飛行が認められているわけではなく、航空法その他関係法令によりドローンの飛行に関する基本的なルールが定められています。

今回は、「イベント上空での飛行」について詳しく解説していきます。

「イベント」とは…

航空法

(飛行の方法)

第百三十二条の二 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
(~略)
 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。

航空法では、「多数の者の集合する催し」と表現されており、特定の場所や日時に開催される多数の者の集まるものを指します。

集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうかによって総合的に判断されます。

「多数の者の集合する」について

人数については、特定の時間、場所に数十人が集合している場合は、「多数の者の集合する」に該当する可能性があります。

「催しが行われている時間」について

観客の入場のための「開演前の開場」から、閉演後、観客が退場し終えた後の「閉場」までは、当該場所に多数の者が集まる可能性があり、「催しが行われている時間」となりえます。

「催し」に該当する例

  • 法律に明示されている祭礼
  • 縁日、展示会
  • プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会
  • 屋外で開催されるコンサート
  • 町内会の盆踊り大会
  • デモ(示威行為)等

「催し」に該当しない例

  • 自然発生的なもの(信号待ちや混雑により生じる人混み等)

追加基準

多数の者の集合する催し場所の上空における飛行を行う場合は、「許可等に係る基本的な基準」に加え、当該飛行に係る「追加基準」にも適合しなければなりません。

(以下概略)

ドローンの落下による第三者に対する危害を防止するため、催し場所上空であっても、第三者の上空でドローンを飛行させないことを要件とし、次に掲げる基準に適合すること。

※機体について

  • プロペラガード、衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーを装着すること。
  • 想定される運用により、10回以上の離陸及び着陸を含む3時間以上の飛行実績を有すること。

操縦者について

  • 意図した飛行経路を維持しながら飛行させることができること。

安全確保の体制

  • 飛行経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。

補助者の配置

  • 飛行経路全体を見渡せる位置に、飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
  • 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

※立入禁止区画の設定

  • あらかじめ主催者等と調整を行い、次表に示す立入禁止区画を設定すること。
飛行高度立入禁止区画の範囲
20m未満飛行範囲の外周から30m以内の範囲
20m以上 50m未満飛行範囲の外周から40m以内の範囲
50m以上 100m未満飛行範囲の外周から60m以内の範囲
100m以上 150m未満飛行範囲の外周から70m以内の範囲
150m以上飛行範囲の外周から落下距離(当該距離が70m未満の場合にあっては、70mとする)以内の範囲

なお、DIPSでの飛行許可承認申請において、「主催者との調整結果」については、「催しの名称」「主催者等名」とともに記載する必要があります。

また、「具体的な飛行時間」(例:〇月〇日〇時から〇時まで)を特定し記載しなければなりません。

DIPSの催し物上空の飛行における入力項目

※風速による規制

  • 風速が秒速5m以上の場合は、飛行を行わないこと。
  • 飛行速度と風速の和が秒速7m以上となる場合には、飛行を行わないこと。

例外:ドローンを係留又はネットの設置等をしている場合

以下のいずれかに該当する場合は、※(「機体について」「立入禁止区画の設置」「風速による規制」)の基準適合性は求められません。

  • 機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合
  • 第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合
  • メーカーが落下距離を保証し、飛行範囲の外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画として設定している場合 等
ドローンの飛行許可が「不要」なケース

ドローンの飛行には必ず許可が必要なわけではない。飛行場所や空域、飛行形態により不要になるケースを紹介。