人口集中地区におけるドローン飛行についての解説

街を行き交う人々

ドローンは、いつでもどこでも自由な飛行が認められているわけではなく、航空法その他関係法令により飛行に関する基本的なルールが定められています。

今回は、航空法による9つの規制のうち「人口集中地区の上空」について詳しく解説していきます。

ドローン飛行許可が必要なケース:航空法その他関係法令から解説

ドローンの飛行は「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」の2つの法律で規制されています。

航空法の根拠条文を確認しよう

航空法

(飛行の禁止空域)

第百三十二条 何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。

(中略)

 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空

(以下略)

航空法施行規則

第二百三十六条の十三 法第百三十二条第一項第二号の国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域は、国土交通大臣が告示で定める年の国勢調査の結果による人口集中地区(地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通大臣が告示で定める区域を除く。)とする。

人口集中地区とは

人口集中地区の地図
東京都心部の人口集中地区

人口集中地区とは、5年ごとの国税調査において設定される統計上の地区で、「DID(Densely Inhabited District)」とも呼ばれています。

上図の赤いエリアでドローンを飛行させるには許可が必要です。東京都心部は、ほぼすべてのエリアがDIDに設定されています。

人口集中地区は、空港周辺の空域と同様に「国土地理院」の地図によるほか、政府統計の総合窓口が提供している「地図で見る統計(jSTAT MAP)」でも確認することができます。

空港周辺の飛行禁止空域:許可を必要としない高度の調べ方などを解説

制限表面とは?空港周辺であっても飛行許可を必要としない高度制限の調べ方などを解説。

人口集中地区の表示方法


国土地理院地図

国土地理院サイト画面
出典:国土地理院

「その他」>「他機関の情報」>「人口集中地区」

jSTAT MAP

jSTAT MAPでの人口集中地区の表示方法
出典:総務省統計局

人口集中地区のデータ更新

2022年3月25日に「令和2年の国税調査の結果に基づく人口集中地区」が公表され、航空法第132条の定める「人口集中地区」としては、2022年6月25日から令和2年のデータが適用されています。

私有地でも飛行許可がいるの?

たとえ、周囲に誰もいない広大な私有地でドローンを飛行させる場合であっても、人口集中地区内であれば当該許可が必要となります。

人口集中地区であっても許可を必要としないケース

屋内で飛行させる

体育館の中の様子

体育館や公民館などの屋内での飛行は、航空法の適用対象外となることから許可は不要です。

ただし、扉や窓が開いていてドローンが屋外に出られる状態では屋内とは認められません。

もちろん、個人宅でも窓等を締め切っているのであれば「屋内」と見なされます。

ネットで囲われたところで飛行させる

ネットで囲われたフットサル場の様子

ゴルフ練習場や一部のフットサル場のように四方及び上部がネット等で囲われている場合は、屋内とみなすことができるので、許可は不要となります。

当然ですが、ドローンが抜けてしまうほど目の粗いものでは屋内とは見なされません。

ドローンを係留した場合

十分な強度がある30m以内の紐などでドローンを係留し、第三者の飛行可能範囲への立入管理等の措置を行えば一部許可・承認が不要となります。

十分な強度を有する紐等(30m以内)で係留した飛行の様子
許可承認不要許可承認必要
DIDにおける飛行空港等周辺での飛行
夜間飛行緊急用務空域での飛行
目視外飛行150m以上の上空での飛行
第三者から30m以内の飛行イベント上空での飛行
物件投下危険物の輸送
ドローンの飛行許可が「不要」なケース

ドローンの飛行には必ず許可が必要なわけではない。飛行場所や空域、飛行形態により不要になるケースを紹介。

追加基準

人口集中地区で飛行を行う場合は、「許可等に係る基本的な基準」に加え、当該飛行に係る「追加基準」にも適合しなければなりません。

(以下概略)

原則、人又は家屋の密集している地域上空であっても、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、次に掲げる基準に適合すること。

  • 機体について、プロペラガード、衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーを装着すること。
  • 飛行させる者について、意図した飛行経路を維持できること。
  • 第三者の上空で無人航空機を飛行させないように、次に掲げる基準に適合すること。
    • 飛行経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
    • 飛行経路全体を見渡せる位置に、安全な飛行のため必要な助言を行う補助者を配置すること。
    • 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。
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